彼らは生きていた:(原題)THEY SHALL NOT GROW OLD
2018年 イギリス、ニュージーランド
監督:ピーター・ジャクソン
上映時間:99分
鑑賞日:2020/3/13
劇場:シネマジャック&ベティ
『1917 命をかけた伝令』を観たなら絶対に観た方がいいと評判だったこの作品。
そんなみどりの『1917』の感想はコチラなんですがね。
あのワンシーンに見える手法が引き起こす没入感に骨の髄まで浸食してしまったみどりは、今んとこ『1917』が今年ナンバーワンなのですよ。
ならばあの人類史上初めての世界大戦をもう少し深く理解しようと思ったので、観てみました。本作はドキュメンタリーとなっておりまして、監督は『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンです。
とりあえずあらすじを、
あらすじ
1914年、第一次世界大戦が開戦。
8月、イギリスの各地では宣戦布告の知らせと共に募兵を呼びかけるポスターが多数掲出された。志願資格の規定は19歳から35歳までだったが、19歳に満たない大半の若者たちも「誕生日を変えろ」と言われるままに歳をごまかして入隊するものも。
「祖国のために戦うのは当然!」と愛国心で志願したのはかつての兵士。「周りが皆、志願していたので自分も…」や「退屈な仕事から解放されたかったので…」とよく分からないまま志願した者も多く、国全体が異様な興奮状態に包まれていった。
見どころ
モノクロからカラーに変わる瞬間
よく昔の記録映像を見ていると、人物が早足でカクカク動くのあるじゃないですか?
あれってみどりの中では、なんや映写機の規格が違うからあの動きになっているのかとずっと思っていたんですね。しかし本来フィルムのフレームって1秒に24コマなんですよね。
それを当時は1秒13フレームから16フレームで撮影されていたため、足りないフレーム分カクカクした動きになるという。目から鱗が落ちました!
その上で本作は忠実に当時の「色」を再現して1本の記録映画として完成させた訳です。
そして冒頭から数十分したあたりでパッと色が付き、映像も滑らかになった瞬間、本作のタイトル通り確実に当時『彼らは生きていた』事を我々は実感するのです。
あの瞬間、誰しも戦場で戦った人達の息吹を肌で感じる事ができます。
解説は退役軍人の方々の生の声で
みどりの幼馴染みは祖父君からよく戦時中の体験を、リアルに聞かされていたそうです。
そんな友人のエピソードを当時羨ましくも感じていました。滅多に聞けない話ですもんね。本作には進行するメインのナレーションは特に無く、多数の退役軍人の方々の語りをかき集めて、映像にマッチする話を合わせています。
これが凄く臨場感がありました。時には微笑みながら、時には辛そうに。演技ではない語り口調がこの事実を物語っています。
まとめと総評
色の再現は本当に目をみはるものがあり、兵士が笑った時に見える前歯の汚れまで確認する事ができるんですよ。
そして鑑賞後、みどりが率直に感じたのは「結構軽いノリだったんだなぁ」ということ。
いや、決して当時の悲劇を舐めているわけではないのですが、これまでの数多に存在する戦争に纏わる話を統合するに、それは一世一代の任務と刷り込まれていた訳ですから。
「お国の為にこの命を!」の精神でしょうか。
それに日本には「特攻隊」という決死部隊も存在していたじゃないですか。それには生半可な気持ちでは参戦することはかなわず、何か覚悟するものが必要だった事と思うのですよ。それが「皆入隊しているから俺も…」だとか、「戦争に行かないと女の子に馬鹿にされるから…」というお話を聞くと随分イメージと違うなぁと感じてしまった次第です。
これも本作を観なければ一生知る事がなかったかと思うと、本当に観てよかったと感じます。
あと死体もかなり出てきまして、その血の色も忠実に再現されているので苦手な人は鑑賞には少しだけ覚悟が必要かも。
ほんで評価なんですが、
☆☆☆
『1917 命をかけた伝令』も『彼らは生きていた』もカタチは違えど言いたい事は一緒なんだと思いました。
是非、セットで観て頂きたいです。
ピーター・ジャクソン監督といえばやっぱりコチラですね ↓