テアトルみどり座

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サモ・ハン・キンポーのライフワーク作第一弾!『五福星』感想と見どころ

五福星:(原題)奇謀妙計

1983年 香港

監督:サモ・ハン・キンポー

上映時間:101分

鑑賞日:2020/3/10

劇場:自宅 J-COM VOD、(初見は平塚にある今は無き映画館)

 

 

 前回『ヘレディタリー/継承』を自宅で鑑賞した時、J-COMの作品欄にひっそりとこの『五福星』があるのを確認。

おお!久しぶりに観てみようと思い、何年振りかに観ました。

 

近年のジャッキー作品はついでご無沙汰ですが、この頃のみどりは本当にジャッキー・チェンが好きでしてねぇ。きっかけはブルース・リーから始まって香港のカンフーアクションにハマってというこの時代のあるあるですが。

そして香港映画のスターはジャッキー・チェンにシフトして、そしてサモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウと七小福(三人が卒業した香港の役者養成所)系列の作品を貪るようになった次第です。

日本では既に「プロジェクトA」が公開されていて、3人の人気は正に絶頂期。

武道館でコンサートなんかも行われていて、それは凄まじかったのですよ。

伝説の映画雑誌「ロードショー」(2008年に廃刊)をみどりは愛読していたのですが、この頃、男優はジャッキー・チェン、女優はソフィー・マルソーを推していましてね。

ジャッキーに関しては、定期的に『まるまる一冊ジャッキー・チェン』なる超ストレートなタイトルがつけられたムックも刊行されていまして、それも発売日に書店から売り切れるほどの人気だったのです。

そんな思い出を遠い目で回想しながら、恐らく数十年振りに鑑賞しましたので、ここで一発ご紹介したいと思います。

 

 

あらすじ

刑務所で意気投合したサギ師五人組。ポット(サモ・ハン・キンポー)、自動車の部品泥棒のチンケ(リチャード・ウン)、宝石泥棒のハンサム(チャーリー・チン)、政治犯のモジャ(ジョニー・シャム)、一番年長のマジメ(フォン・ツェー・ファン)は出所後、カタギになる為に健全な清掃会社を立ち上げる。

その頃、刑事のジャッキー(ジャッキー・チェン)はマフィアのニセ札事件を追っていた。ある日、オフの日に趣味のローラースケートの大会に出た時に、ひったくり事件に遭遇する。

「泥棒だー!誰か捕まえてくれー!!」

その声を聞き会場を飛び出し賊を追うジャッキー。彼の追跡に賊達は偶然居合わせたポット達とぶつかってしまい、ひったくったカバンを彼らの社用車の中に落としてしまう。

そのカバンの中身は、奇しくもジャッキーが追っていたマフィアのニセ札の原板だった。

 

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パンフの詳細は後述。発行は東映、当時の価格で¥400ナリ


 

主要キャスト

ポット(メディアによって「カボ」・「キュース」と表記が違う。ここでは公式パンフレットの呼び方のポットと表記):サモ・ハン・キンポー

五人組の中では太っている体系からか皆からいじられている。しかし、幼少期は喧嘩ばかりしていて友達ができなかったので、今は乱暴な事はせずに現状を受け入れている。

 

ジャッキー:ジャッキー・チェン

熱血漢の刑事だが、失態ばかりでついにはヤマから外されてしまう。

 

シャーリー:チョン・ツウ・ホン

モジャの妹。ポットに好意を持っている。

 

 

 

見どころ

サモ作品とジャッキー作品の決定的な違い

いきなりマニアックな視点で申し訳ないですが、もう少しだけお付き合い下さい(汗)

『ヤングマスター』、『プロジェクトA』はジャッキー監督。

『モンキーフィスト猿拳』、『燃えよデブゴン』と本作はサモ監督。

両者その他にも多数監督作品がリリースされていますが、どちらも激しく独創的なカンフーアクションが見どころとなっております。この両者の作風で決定的な違いは「スローモーションの使い方」なんですな。

 

ジャッキー作品に見られるスローの使い方は、難しめのアクションシーンと、一番ハイライトな場面、例えば建物が爆発するシーンとか、高所からの落下シーンとかね。

みどり個人の好みを申し上げますと、「ヤングマスター」、「ドラゴン・ロード」この2作品のスロー演出がとにかく大好物。通常スピードからの全く同じアクションとカメラアングルでスローを改めて見せてくれる。

 

一方サモ作品に見られるスローの使い方は、演者の苦労をねぎらった使い方なんです。

いわゆる観ている我々が、

「うわぁ・痛そう~」と思わずつぶやいてしまいそうな場面でササっとスローになるというね。

だからジャッキー作品ばかりを観ていて急にサモの作品を観ると謎スローが際立ってくるという。しかしこれが解ってくると、

「なんでこんなトコでスローが入るの?解った!これサモ・ハン・キンポー監督だろ!」

となるんですよ。(謎のドヤ顔で)

 

本作で代表的なシーンを二か所ほどご紹介しますと、ファーストフード店で最後にジャッキーに回し蹴りを食らい、ガラスを突き破って外に飛び出す敵と、最後のバトルで前中をしながらフレームインしてくるサモ。これらはジャッキー作品ではまずスローにならないと思います。たぶん…。

特に前者は、ぶっつけ本番で撮影され、シミュレーションと違う落ち方をしてしまったスタントの方は頭を強打。そのまま救急車で運ばれて全治二十日間だったとの事。これは確実にサモ作品におけるスロー案件でしょう。

 

ツッコミどころ激盛りのパンフレット

本作のパンフレットは50ページという、映画パンフとしてはかなりの容量ですが迷作中の迷作

まず作品の解説や、登場俳優の紹介など普通のパンフレットのような作品に触れているページはなんと7ページのみ…。あとはジャッキー、サモ、ユン・ピョウの武道館コンサートの模様や、『ザ・シェフ』でお馴染みの故加藤唯史先生の漫画で占められています。

そのコンサートは当時の特番でテレビ放映されていたような、サモは森進一の「女のためいき」ユン・ピョウはあの「昴」を熱唱

 

そして みどりが一番グッときたのはこの文章 ↓

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これほど思いのたけをまっすぐに表現した文体もないかと。

ローラースケートを『8輪』と表現しているところにセンスを感じませんか?

因みに『ナナハン』と記載されていますが、本当はヤマハのRZ250という車種で『ニーハン』の誤りです。

ドンマイ東映!

 

 

鑑賞は絶対に「日本公開版」で!

この時代の香港映画あるあるですが、オリジナル版と日本公開版は差し込まれるBGMが違いまして、例えば「ヤングマスター」ではギターインストの大名曲『キムのテーマ』が流れず、湯川れい子作「さすらいのカンフー」も流れません。

「ドランクモンキー酔拳」では四人囃子の「拳法混乱」も流れない。これは色々大人の事情があり説明するとまた長くなるので今回は割愛しますが、本作も例に漏れていません。この主題歌「SUPER SUPERSTAR」が凄い名曲なんですよ!歌うのはあの陣内孝則。

残念ながら恐らく配信サービスのヴァージョンは全てオリジナル版かと思います。

J-COMもそうでした。しかし2014年にリリースされたブルーレイは待ち焦がれた日本公開版が収録されていますので、是非ともそちらで鑑賞してください。

 吹き替えですが日本公開版のEDの動画を貼っておきます ↓ 

 チラっと登場するユン・ピョウが連れている女の子はムーン・リー

かわええですなぁ~

 

 

まとめと総評

この頃の香港映画特有“ゆるさ”が今観ると新鮮ですねぇ。

香港のサミー・デイビス・Jrであるリチャード・ウンの透明人間のシークエンスなんか本当にほっこりします。

あと、ジャッキーのローラースケート大会で、U字のトリック台から技をキメるシーンには足元にも注目です。

 

お堅い映画評論家の方々はこぞって酷評しそうですが、みどりはジャッキー作品も含めこの時代の香港映画全般が大好き!ゴールデンハーベストのオープニングムービーが流れるだけでワクワクが止まらんのです。

さて評価は、、、

 

☆☆☆

 

娯楽作品としては一級品。頭を空っぽにして鑑賞してください。

 

 

鑑賞は絶対にコチラで! ↓

 
 
リチャード・ウンといえばやっぱりコチラですね!
これは絶対に吹き替え版で鑑賞するのを推奨。
広川太一郎と、巨匠ビートたけしの吹き替えは必聴です!↓
 

 

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