テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

【スポンサーリンク】

闇も普通に恐いぞ!『ヘレディタリー/継承』感想と見どころ

ヘレディタリー/継承:(原題)Hereditary

2018年 アメリカ

監督:アリ・アスター

上映時間:127分

鑑賞日:2020/3/8

劇場:自宅 J-COM VOD

 

f:id:t-midori:20200324045500j:plain

 

 いやあ「ミッドサマー」好調ですねぇ。最近になってディレクターズカット版も公開されるようになり、ますます観客動員数を伸ばしています。

そしてまあネットには本作と「ミッドサマー」の考察サイトや動画の多いこと。

みどりの「ミッドサマー」の感想はコチラ

 

『テアトルみどり座』では、

まだ観たことなくて、これから観ようと思ってるんだけど…。

といった方向けに記事が進行しますので悪しからず。

もちろんいつものようにネタバレもいたしません。

 

 

さて、本作はそのアリ・アスター監督の長編デビュー作。

「ミッドサマー」で監督の名を知った節穴の目を持つみどりも是非観たいと思っていたら、ちょうどタイミングよくJ-COMで配信されていたので観ましたよ。

 

対にされているのかは解りませんが、「ミッドサマー」が晴天の青空で繰り広げられる狂気を描いたのに対し、本作は闇で悪夢を描いています。

ゴア描写は少なめですがしっかり収められていて、ホラーの様式美を踏まえながら監督の持ち味も実にスマートにちりばめられています。

とりあえずあらすじからどうぞ。

 

 

あらすじ

ミニチュア模型アーティストのアニー・グラハム(トニ・コレット)は母エレンの死をきっかけにグループカウンセリングに参加するようになる。そこで母が解離性同一性障害を発症していたこと、父が精神分裂症で餓死した事、兄は被害妄想が原因で自殺した事を語り、自分も夢遊病で悩んでいる事を語った。

ある日息子のピーター(アレックス・ウルフ)が友人のパーティーへ行く為に、車を貸してくれと頼んでくる。

それに飲酒をしない事を条件とし、妹のチャーリー(ミリー・シャピロ)も連れていけとせがむ。

お祖母ちゃん子であったチャーリー本人はまだ祖母の死の喪失から立ち直ってないが、なぜか頻りに妹も連れていけとせがむ母アニー。

ここからグラハム一家に壮絶な悪夢が始まった…。

 

 

主要キャスト

アニーグラハム:トニ・コレット

ミニチュア模型アーティスト。夢遊病で悩んでいる。母エレンとは疎遠になっていて、彼女の死には不思議と悲しみは無かった。

 

ピーター・グラハム:アレックス・ウルフ

グラハム家の長男で現在高校生。悪友達とマリファナを楽しみ、パーティーで渦中の女子に近づきたいどこにでもいる高校生。

 

チャーリー・グラハム:ミリー・シャピロ

お祖母ちゃん子であった、13歳のチャーリーには祖母の死は辛かった。舌で“コッ”と鳴らすのが癖。ナッツアレルギーを持っている。

 

スティーブ・グラハム:ガブリエル・バーン

アニーの夫で、ピーターとチャーリーの父。大学教授。

 

 

 

見どころ

俳優陣の表情に注目!

「表情」と普通の表現を使いましたが、トニ・コレットにおいては正に秀逸な顔芸!

つぶさに堕ちていく様を顔で叫ぶ。そう声ではなく顔で叫ぶのです!

 

そしてクライマックスでのあの表情は鑑賞後、しばらく脳に焼き付くこと山の如し。

彼女以外にもチャーリー役のミリー・シャピロの無機質な顔。魂が通ってなさそうな顔なんだけど、その目に何を見ているのかと聞きたくなります。

もうたたずまいが不気味なんです。(←実に失礼かと思いますが、彼女のインスタを見ると凄く笑顔がチャーミングな女の子です)

ちっちゃくて、無表情で、それで巨乳…。彼女の存在は本作にとって不可欠なんですよねぇ。

 

ホラーの様式美+監督のスパイス

志村うしろ~的なホラーに必要不可欠な要素はしっかり封入されていて、そこに監督のエッセンスが絶妙に絡み合っています。ところどころのシーンに、

あれ?いまなんか映らなかった…?

みたいなね。これが作品の世界観を巧妙に形成されていて、実にそれもいい意味で「居心地のわる~い」空間を作っています。

それと音ですね。鑑賞後は必ずみんな舌で“コッ”ってやりますから(笑)

 

アニーが作っている模型をよ~く見てみると…。

「ミッドサマー」では絵がパワーアイテムでしたが、本作はアニーが制作している模型。

ネタバレになるので割愛しますが、鑑賞時にはコレに注目してみて下さい。

 

 

まとめと総評

「ミッドサマー」では監督の過去の恋愛がベースに作られたとの事ですが、「ヘレディタリー/継承」では家族がテーマになっています。

家族とは本来その人の居場所と言いましょうか、心許せる拠り所のはずなのですが、時に地獄にもなるというね。

一家の食事のシーン、アニーがピーターを怒鳴りつけるシーンは一番解りやすく描かれていると思います。

タイトルにも注目してみて下さい。なぜわざわざ「/継承」と日本語で付け加えたのか?ココを考えながら観ると実に趣深いですよ!

 

そして監督の作品で、家族がテーマになっている短編を一つご紹介しますと『ジョンソン家についての奇妙な事』をオススメしたいと思います。

こちら29分でまとめられていて、内容をサラっと説明しますと父親を性奴隷にしていく息子の話。もうこれだけで普通ではないと感じますよね?

字幕無しですが普通に理解できますので、興味のある方は観てみてください。監督の「らしさ」が短編にも表れています。

 

 

というわけでみどりの評価は、、、

 

☆☆☆

 

そろそろ監督のホラー以外のジャンルも是非観てみたいですねぇ。

 

 

 
 

【スポンサーリンク】