テアトルみどり座

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ようやくスクリーンで鑑賞できました!『ドラゴン怒りの鉄拳』感想と見どころ

ドラゴン怒りの鉄拳

英題:FIST OF FURY

1972年 香港

監督:ロー・ウェイ

上映時間:106分

鑑賞日:2020/7/26

劇場:シネマ・ジャックアンドベティ

 

 

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今回ブルース・リー生誕80周年という事で、「4Kリマスター復活祭」で鑑賞してきました。公開された作品はゴールデンハーベスト4大作品である『ドラゴン危機一発』『ドラゴン怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』『死亡遊戯』。

みどりがチョイスしたのは『ドラゴンへの道』と本作『ドラゴン怒りの鉄拳』の2本。

この2本は本当に好きで、子供の頃からビデオで何回観た事か…。

いやあ、ようやくスクリーンで鑑賞する事ができましたよ。

 

本作は敵が日本人という事で、一応は抗日作品に分類されるんですがね。

名作を前にそんな小難しい事はいいんです!

とりあえずあらすじを読んでください

 

 

あらすじ

20世紀初頭の上海租界。その地に中国拳法の道場「精武館」の創設した伝説の武道家フォ・ユアンジャが原因不明の急死を遂げた。その悲報を聞き、大雨の中、急いで上海に戻ってきた弟子のチェン・チェンは恩師の変わりはてた姿の前に泣き崩れる…。

数日後、フォの初七日法要の席に上海で日本の空手を教える「虹口道場」の館長、鈴木の使いを名乗る2人の日本人と、中国人通訳ウーが、“東亜病夫”(アジアの弱者)と書かれた巨大な額を持って現れ、卑劣な挑発を行う。

当時、上海は英米列強をはじめ日本などの外国人居住区として分割され、外国人たちに支配され、そこに住む中国人の多くが不当な差別や人権侵害を受けていた。ハン師範は血気にはやる門弟たちを制止してその場の騒ぎは収まったが、怒りが収まらないチェンは単身、額を抱えて虹口道場に殴り込みをかけるのであった。

 

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パンフは今回のコンセプト上映用の特別仕様

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これで1000円は安いっす!


 

主要キャスト

チェン・チェン:ブルース・リー

精武館の門弟。恩師の死は他殺と疑い、単身で真犯人を追う。

 

ハン:ティエン・フォン

精武館の師範代。道場の門弟たちの父親のような存在。

 

ユアン:ノラ・ミャオ

チェンと以前交際していた美しい女性。彼の暴走を必死に止めようとする。

 

鈴木寛:橋本力

虹口道場の館長。精武館を潰そうと画策している。

 

ウー:ウェイ・ピンアウ

虹口道場の通訳。悪企みに長けている。

 

 

見どころ

異種格闘技戦に興奮

ブルース・リーの代名詞であるヌンチャクは本作から登場しました。

今回の敵は日本人。公式の設定ですと虹口道場は空手道場との事ですが、こちらは恐らく柔道ではないかと。その証拠に道場の天井付近に嘉納治五郎の写真が飾られているのです。

前半にチェンが虹口道場に殴り込みをかけ、多数の門下生をなぎ倒した後、師範クラスの眼鏡の中年男性とのタイマンのシーン。

腕を組んで睨みをきかせているチェンの背後に注目して下さい。あのショットは本作の裏ベストショットでしょうね!

中国拳法を前に全く歯が立たない日本の武術。象徴的に後ろで固唾をのむ嘉納治五郎の肖像。もう色々情報がありすぎる最高のシーンです!

 

そしてやはり注目はヌンチャク対日本刀の対決。クライマックスの鈴木との闘いです。

チェンの華麗なヌンチャク捌きに対し、橋本力さん演じる鈴木の日本刀の技もホンモノでした。やはりラスボスの風格といったところでしょうか。

因みに最後にチェンの飛び蹴りと喰らい、鈴木が障子を突き破って外へ飛び出すシーンは無名の頃のジャッキー・チェンがスタントを担当しています。

 

魅力ある表情のベスト盤

ブルース・リーといえば表情。喜怒哀楽実に解りやすく、セリフが無くとも現在の心境が手に取るように理解できますね。

超有名なところですと『燃えよドラゴン』でオハラにとどめをさすあの顔でしょうか。しかしみどりはこの『怒りの鉄拳』こそがブルース・リーの顔芸(リスペクトの意味で!)の集大成だと思っています。

何せ前述した『燃えドラ』のあの顔はペドロフの関節技の時に見る事ができますし、ラストの怪鳥音を発する顔、恩師の遺影を前に完全に腑抜けた表情も愛おしい。

極めつけはブルース・リー作品では実に珍しい、と言うか唯一のキスシーンだって見る事ができるのですから!

 

 

まとめと総評

みどりが本作を初めて鑑賞したのは、確か小学生時代でそれもテレビの「〇曜ロードショー」(昔は金曜ロードショーだけではなく、月曜や火曜もありました)という民放編集版。

故水野晴郎氏が解説されていたので「水曜ロードショー」の可能性が高く、そこで「共演はノラ・“ミヤオ”」と紹介されていて、幼かったみどりは、

「この女優さんは宮尾すすむとなんか関係がある人か?」

と稚拙な想像をしたものです。

 

そんなカットされまくりのテレビ版の記憶しかなく、大人になってからフル尺版を観てビックリした訳なんですよ。

 

目ぼしいとこではまずチェンが「犬と中国人通るべからず」と書かれた看板を叩き割る一連のシークエンス。それと芸者さんのストリップシーン。

要するに日本に都合の悪いシーンがきれいにカットされていたのです。

あの頃、普通に女性の裸体をテレビで見る事ができた時代ですが、政治的なコンプライアンスは今よりも厳しかったのですかね…。

 

そうそう、恩師殺害の実行犯を見つけたあのシーン。腹巻を目視して「お前日本人か…?」というセリフも別のものになっていた気がします。

なぜ腹巻=日本人という図式ができるのか未だに謎ですが。

鈴木もリンという役名でしたよね!

 

チェンの怒りの鉄拳は一体誰に向けられたものなのか?恩師を殺害した虹口道場へか?それだけではなく迫害してきた日本人全員に向けられたものではないのか?

完全版を観たみどりはそういう考察をしてしまうのです。

 

その他有名エピソードですと、登場する日本人が履いている袴が前後逆という、もう色んなところでこすられまくっている話もあります。

橋本力さんは勿論指摘されたそうなんですね。しかし監督は「その方がかっこいいから」との理由でそのまま敢行。しかし橋本さん登場シーンでは皆さんキチンと履いているというね。

この雑さが当時の香港映画らしくていいと思います(笑)

 

今回は長年みどりが観てきた作品という事でいささか長くなりましたが、評価は言わずもがなの、、、

 

殿堂入り

 

ノラ・ミャオが一番美しいのも本作だと思う今日この頃。宮尾ではないよ!

 

同じく4Kリマスター復活祭で観てきた『ドラゴンへの道』の記事もあわせてどうぞ ↓

www.tmidori.com

 

 

 

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