ドラゴンへの道
原題:Way of the Dragon
1972年 香港
監督:ブルース・リー
上映時間 100分
鑑賞日 2020/7/25
劇場:ジャックアンドベティ
2020/9/6に加筆修正しました。
一つの作品を複数回観る。
お気に入りの一本は誰でもあると思いますが、支配人みどりにもいくつかありまして、その中の一つを今回はご紹介。作品は『ドラゴンへの道』。
言わずと知れたカンフー映画のスーパースター、ブルース・リー主演の作品でございます。
本作は香港映画では初となるローマロケを敢行していまして、ラストのコロッセオでのバトルはカンフー映画の格闘シーンでも名シーンとの声が高いです。
みどりが幼少期には既にTVで放映する作品でしたが、ビデオで何回観たことか…。
まずはあらすじを、
あらすじ
イタリアはローマにある中華レストラン「上海」は、地元のギャングに売却を迫られていた。
おかげで、お客は怖がって毎日お店は閑古鳥が鳴く日々。亡き父の後を継いだ女店主のチェン(ノラ・ミャオ)は、故郷の香港の弁護士に相談する。しかしそこに来たのは急病で来られなくなった弁護士の代わりに従兄のタン・ロン(ブルース・リー)がやってくる。
いかにも冴えない風貌のタン・ロンにチェンは落胆するが、ある夜いつものように嫌がらせに来たチンピラを、鮮やかな拳法で一掃したタン・ロンに気持ちは一転する。
相手が拳銃を持っていようが、ナイフを持っていようが、怯む事無く片付けていく勇敢なタン・ロンの姿を見てレストランの従業員も心を一つにしていく。このまま黙っているはずもないギャングは、ある恐ろしい切り札を切ろうとしていた。
キャスト
タン・ロン:ブルース・リー
急病で来られなくなった弁護士の代わりにレストランを守りに来た青年。
くったくのない笑顔で誰からも好かれる優しい性格だが、敵は容赦なく叩きのめす。
チェン:ノラ・ミャオ
中華レストラン「上海」の女主人。
例えギャングのアジトへ監禁されても、毅然とした態度を崩さない性格。
当初、タン・ロンの拳法の腕前を見るまでは彼につらくあたっていたが、次第に気持ちを切り替えていく。
コルト(日本版ではゴードン):チャック・ノリス
組織が雇った、タン・ロンへの刺客。空手の達人。
見どころ
細マッチョの原点にして頂点
ブルース・リーといえば美しく整った肉体美。それもムササビのようなヒッティングマッスルに注目していただきたい。これは打撃系の格闘技をやっている人にしか付かない筋肉なのですな。
彼の代表作品の中でも、本作は演武のシーンが盛りだくさん。キレのある技のひとつひとつはあの肉体から引き出されているのですね。
パワーパウダーのはしりかと
ジャッキー・チェン作品でよく見られる、あの『実際に当たっている』表現である舞い散る埃。(文章での表現難しい…)
これはパワーパウダーと呼ばれているのですが、本作のクライマックスにて、ゴードンの弟子との闘いで見る事ができます。蹴りやパンチを捌く際に漂うのですが、迫力ありますよ。
ジャッキー作品最強のラスボス
「ヤング・マスター」「ドラゴン・ロード」ジャッキー・チェン初期の名作である、これら2作品にラスボスとして登場したウォン・インシック。
みどりは誰が何と言おうと、ジャッキー作品最強のラスボスはこの人だと豪語しています。彼は韓国合気道のパクキドーの有段者でもあります。
ジャッキー映画では蹴り一閃の凄まじい技を披露していましたが、本作では日本人武道家として登場。名セリフ「おまいわぁ~タン・ロンかぁ~」も聞く事ができます。
まとめと総評
ブルース・リーの代表作「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」「燃えよドラゴン」そして本作と、「燃えよドラゴン」以外はハッピーエンドで終わらないのです。
鑑賞後のもの寂しさはヨーロッパ映画や北野作品にも通ずるかと。
そして本作のブルース・リーは凄くコメディタッチな演技で親しみやすい。それが余計にエンディングの空虚さを引き立てている感じがします。
忘れてはいけないのが、本作は是非、柴俊夫さんの吹き替えで鑑賞する事をおすすめします。
タン・ロンのキャラにぴったりで、ラストの「こんな事になってしまって…残念です…」のセリフは何回聞いても涙腺が崩壊します。
あ、でもウォン・インシックのあの台詞は聞けませんがね…
という事で、本作は問答無用で、、、
殿堂入り
「彼の行くてに銃やナイフがあろうとも、決して怯むことなく彼は旅を続けるだろう」
グンの名言をブルース・リーの生涯を想いながら堪能してください!
4Kリマスター復活祭を観てきました!
もう感無量…。何せ子供の頃からビデオでテレビの画面から鑑賞することでしかかなわなかったブルース・リーの勇姿が銀幕で観られた事を幸福に思わなければ罰が当たります。
一つだけ苦言を言わせてもらえば、今回上映されたバージョンは国際版で全編英語の吹き替えなのです。なのでブルース・リー本人の肉声ではないと。
改めて本作を鑑賞するとやっぱり最後のチャック・ノリスとの死闘は本当にイイ!
初めてお互い対峙して、これまで戦ってきた相手とは何か違う…
と、無言で慌てず背中を向け入念にアップする二人の達人。
野良猫の叫びが二人の沈黙を破り死闘の火蓋が切られる!
お互いを強敵(とも)と認める一連の流れが本作の強烈なクライマックスとなっているのです。
それとですね、やっぱりブルース・リー演じたタン・ロンの人柄が人間臭くてイイ!
これまでの作品は悲壮感漂い、いつもしかめっ面で怒りを露わにしていたキャラとは一変、優しく人情味にあふれいつも笑顔を絶やさない、そういう男がタン・ロンなのです。
奥様のリンダ夫人が一番好きな作品も本作との事。なぜなら普段の彼に一番近いからだそうですよ。
今回の鑑賞でめでたく殿堂入りにさせて頂きました!