テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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心優しいトリマーに何が起こったのか?『ドッグマン』感想と見どころ

ドッグマン:原題(DOGMAN)

監督:マッテオ・ガローネ 

 

ヨーロッパ映画独特のブルーを、ときおり無性に味わいたくなります。

自分でも何をきっかけにそういう心境になるのか未だに解りませんが、何かがそうさせるのでしょうな。

という訳で今回鑑賞した作品はマッテオ・ガローネ監督の「ドッグマン」。

こちらイタリアはローマ南西部で実際におこったマッリャーナの犬屋事件をベースに作られた作品。

 

概要はとある心優しいごく普通の男性が殺人事件を犯してしまうという、一見物語にならなそうな、事件としてはありきたりな感じはしますが、

まずはあらすじを

 

 

あらすじ

 

イタリアの寂れた海辺の町で<ドッグマン>という犬のトリミングサロンを営んでいるマルチェロ。彼は離婚してはいるが、娘とはいつでも会えて、ささやかだが今の生活に満足していた。しかし一つ悩みの種があったのは、町の嫌われ者のシモーネの存在。彼はマルチェロにドラッグを買いにいかせて金を払わなかったり、窃盗の為の運転手をさせたりとやりたい放題。マルチェロの店だけではなく、他の店でも様々なトラブルをおこしていて、商売仲間の間で暗殺計画まで立ちあがる始末であった。ある日シモーネから、マルチェロの店の隣の店に窃盗をはたらく為に、彼に協力しろと要請される。無論一度はつっぱねるマルチェロだが、シモーネの暴力の前に屈してしまう。翌朝、警察へ容疑者として連行されてしまうマルチェロだが、シモーネを友人として庇った挙句懲役を課せられてしまう。

釈放されたマルチェロの想いとは…。

 

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↑ 本作のパンフレット。シンプルの一言!

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↑ 裏表紙。静かなワンちゃんの後ろ姿がいい味出してます。


 

 

キャスト

マルチェロ:マルチェロ・フォンテ

 

トリミングサロン「ドッグマン」の経営者。

小型犬から大型犬まで愛情たっぷりに接する、心優しい主人。

他の商店の友達も多く、閉店後には仲間とフットサルを楽しむ。妻とは別居中だが、愛娘にはいつでも会える関係。

 

シモーネ:エドアルド・ペッシュ

 

町のアウトロー。

全ての問題を暴力で解決する性格破綻者。ドラッグから窃盗までなんでもござれ。

 

 

 

見どころ

 

マルチェロという男

 

いわゆるいじめられっ子キャラである彼。国境を越えたボーダレスなキャラはどこにでもいるものですが、シモーネ対策なのか、自分でも使用していたのか机にはドラッグを常備している闇も見せています。

もう風貌から何から何まで、彼しかこの役を演じる事が許されない程のピカイチなハマり役でした。

 

マルチェロとシモーネ≒のび太とジャイアン

 

この間柄がなんとも微妙なんですな。

普段酷い目にあわされているのにシモーネがピンチの時には、彼を家に送り届けたり、彼を庇って懲役に行ったりと。マルチェロの心境の変化を追うのも本作の見どころ。

 

特有の長いワンカット

 

こちらは作風ですが、印象的なシーンのワンカットが絶妙です。シーンを堪能しながら、観客に『何かを問う』ようなね。

こう、考える時間を随所に与えてくれているような感じがしますよ。

 

 

まとめと総評

 

我々の身にも起こりえる、日常的なトラブル。それは小さなきっかけで、取り返しのつかない問題に発展することもしばしば。鑑賞中は自分もマルチェロの立場に立って、自問自答すると作品をより楽しめると思います。

撮影地はナポリから40キロ程離れた場所にある、コッポラ村という場所。

ここがなんとも貧しさと寂しさが共存したような味がある場所なんですよ。もうブルースが流れまくっているようなね。是非一度行ってみたくなりました。

 

というわけで今回の「ドッグマン」の点数は…

☆☆☆

 

この先のマルチェロの人生に幸あれ!

 

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