1917 命をかけた伝令:(原題)1917
2019年 イギリス アメリカ
監督:サム・メンデス
鑑賞日:2020/2/22
劇場:109シネマズ湘南 IMAX
支配人みどりはゲームも大好きでしてね、特に「ファイナルファンタジーシリーズ」は「1」からずっとプレイしていて、その進化の過程をリアルタイムに見てきました。
一番の進化だと思うのは『シームレス』ですかね。それまでのRPGはマップを移動中に、モンスターと出会うと画面が暗転してバトル画面になる。そのマップというのも、表面上は何もいないのに、目に見えない敵と遭遇して戦ってきたのです。
それが実際にモンスターがマップ上を縦横無尽に闊歩していて、それに触れると即戦闘開始!これには興奮しましたよ~。
さて、今回ご紹介する「1917 命をかけた伝令」は全編ワンカット撮影という、今までになかった撮影方法で編集されていまして、みどりは
「映画界のシームレスだ!」
と思った次第です。
とりあえずあらすじからどうぞ。
あらすじ
1917年、サラエボ事件に端を発する第一次世界大戦が勃発して3年。西部戦線では長大な塹壕戦を挟んでドイツ軍とイギリス・フランスからなる連合軍がにらみ合っており、多大な犠牲をともなう悲惨な消耗戦を繰り返していた。
同年4月6日、トム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は上官から一人選出して、その者と一緒にエリンモア将軍(コリン・ファース)のところへ行けと命じられる。彼が選んだのはウィリアム・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)。二人が将軍のところへ訪問すると、恐るべき事実を話された。内容はマッケンジー大佐率いるデヴォンシャー連隊第2大隊が退却したドイツ軍を追っていたのだが、航空写真によって、ドイツ軍が要塞化した陣地を築き待ち構えているという内容だった。このままドイツ軍を追っていると、マッケンジー大佐と1600人の友軍は全滅させられてしまう。しかもあらゆる通信手段はドイツ軍に遮断されている状況。二人に課せられた重要任務は、この事実を翌朝の攻撃予定前にマッケンジー大佐に知らせる事であった。
すぐに出発するブレイクとスコフィールド。彼らが取るルートはドイツ軍が築いたブービートラップだらけの塹壕地帯、ドイツ占領下の町も越えていかなくてはならない。
しかも二人が伝令を告げる第2大隊はブレイクの兄も所属していた…。
主要キャスト
ウィリアム・スコフィールド上等兵:ジョージ・マッケイ
物静かな20代の青年。ブレイクに選出されて彼と一緒に任務に就く。用意周到に遂行したいが、ブレイクの私情を挟んだ熱意に少しだけ憤りを感じていた。
トム・ブレイク上等兵:ディーン=チャールズ・チャップマン
家族と飼い犬を愛する19歳の青年。任務遂行、とりわけ兄の命を救いたいが為に先を急いでしまう。
スミス大尉:マーク・ストロング
バポームからひと晩かけて無人地帯を渡り、新たな戦場へ向かう最中、スコフィールドと出会い途中までトラックに彼を乗せる。
見どころ
尋常でない没入感
初めに言ってしまうと、本作は全編ワンカット撮影が売り文句ですが、これはそのように見せているだけ。優れた編集技術により、本当にワンカットで撮影されているように見えます。もう絶対シーンのつなぎ目は解らないですから!
あ、一応1か所だけは誰でも解るシーンはありましたね。これが堪らなく観客を没入させるのですよ。観客はあたかも二人と一緒に戦地を歩いている錯覚すら覚えてしまうというね。
魔法のようなカメラワーク
はっきり言ってどのように撮影されているのか全く解らなかったです。
オープニングから魅せてくれます。任務に出発するブレイクとスコフィールドはとりあえず自陣の塹壕から、前線に向けて歩き出すのですが、ここ人がすれ違う時はお互い横向きにならないと通れないくらい狭いんですね。これをセリフに合わせて、360度自由にカメラが向けられて、人の往来も止まらないという。
どうやってるんでしょうこれ…?
パンフレットに監督の撮影裏話も収録していたのですが、その中に驚愕の話が。廃屋を通り抜けるシーンの撮影の為に、二人の歩行スピードとセリフの長さを考慮してセットの規模を算出したとの事。つまりカメラ映えするシーンと、俳優の演技時間を考慮してからセットの制作に入ったという話です。メイキング映像を心から希望します。
ジョージ・マッケイのこの表情に注目
色んなメディアの宣材アイキャッチで使われている下の画像。
この画像は、みどりの『今年一番素敵な画部門』に文句無しのノミネート。この決意した横顔は、彼の肩にのしかかった重大な責務をなんとしてでも遂行しようとする漢の顔。
そしてここからが本作のクライマックスなのですが、もしも学校の通信簿で『責任感に欠ける』と評価された少年少女はこのシーンを、その全細胞に焼き付ける事をおすすめします。(何故か上から目線)
まとめと総評
いやあ正直言ってここまで凄いとは思ってもみませんでした。カット割りって映画、ドラマなどの映像作品では基本じゃないですか。これをあえて行わない事でここまで臨場感が出るとはねぇ。本編で絶対にみんながビックリするシーンがあるんですよ。
その瞬間、みどりはちょうど腕組して観ていたんですが、あまりの驚きですくんでしまい、明らかに体がワンサイズ小さくなりましたもん!
それと、スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」で無線電話が出てくるんですが、この当時は無かったんかと思いましたが、それはパンフレットで戦史研究科の白石光さんが詳しく解説されていましたね。結論として、当時の伝令手段は人の手で行われていて、たまに軍用鳩とか使われていたらしいです。
そもそも「プライベート・ライアン」の舞台は第二次世界大戦でしたからねぇ。
劇中、ある上官がキルゴアという名の部下を呼ぶシーンがあるのですが、ここにピンと来た方は、そう、早朝ナパームでお馴染みのキルゴア中佐 from「地獄の黙示録」を連想しますよね。オマージュなのでしょうか…?
評価は言わずもがなの、、、
☆☆☆☆☆
初めて「ブレアウィッチプロジェクト」を観た時の驚き。そこから「モキュメンタリー」というジャンルが台頭してきたように、本作から「ワンカット」というジャンルが続々登場することを希望しましょうかね。
映画界のシームレスを皆さんもご堪能ください!
今月末から再編集版が公開されますね!楽しみです!