テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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母国語を守るため、懸命に生きた人たちの物語『マルモイ ことばあつめ』感想と見どころ

マルモイ ことばあつめ

2019年 韓国

監督:オム・ユナ

上映時間:135分

鑑賞日:2020/8/11

劇場:シネマジャック・アンド・ベティ

 

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 こんにちは!支配人のみどりです。

当ブログでは今年の韓国映画は凄いと散々言ってきました。

そしてここに来てまたまた凄い作品が来たのですが、そろそろこのテの作品が登場するのではないかと思っていたのですよ。

いささかこう、プロパガンダ作品というかね…。

正直言ってみどりは歴史的な政治背景は勉強不足なうえ、右でも左でも無いものであんまり個人的な意見というのは少なくともこのブログでは控えたいと思っております。

と要するに繰り返しになりますが、日本が韓国に戦争によって酷い事をしていた時代の作品がそろそろくるのではないかと思っていた次第なんです。

本作『マルモイ ことばあつめ』の当初の印象はこんな感じ。

あんまり抗日抗日している内容だったらいやだなぁと心配していたのですが、そんな事全然無かったです。

とりあえずあらすじからどうぞ!

 

 

あらすじ

1940年代、現在の韓国ソウルが日本統治により京城と呼ばれていた時代のお話。

盗みで生計をたてていたお調子者のパンス(ユ・ヘジン)はある日、息子の授業料を払うためにジョンファン(ユン・ゲサン)のバッグを盗む。実はこのジョンファンは秘密裏に失われていく朝鮮語の辞書を作成していた。日本統治下の朝鮮半島では朝鮮語を話すことを禁じ、名前すらも日本名に変えようとしていた時代。

そんなパンスは学校に通ったこともなく、読み書きもできない非識字者。ジョンファンのバッグを盗んだ事で、彼もまた失われていく朝鮮語に次第に憂いを覚えていく…。

 

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本作のパンフ。暖かいシンプルなデザインがホッコリします。

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真鍋祐子さんのコラムが大変面白かったです。


 

主要キャスト

パンス:ユ・ヘジン

男手一つで息子と娘を育てているが、定職には就いていない。読み書きができない非識字者だが、ジョンファンと出会った事で言葉の重みを学び、自分も朝鮮語の辞書作りに参加するようになる。

 

ジョンファン:ユン・ゲサン

表向きは書店の店主だが、その地下で数人の協力者と一緒に朝鮮語の辞書を制作している。

親日家の父を持ち博学。野蛮なパンスを初めは嫌っていたが、言葉を学んで世界が広がっていく彼に心を開いていく。

 

 

見どころ

感情を右に左に…

本作の監督オム・ユナさんはあの『タクシー運転手 約束は海を越えて』の脚本を手掛けられた方で、今回が監督デビュー。

笑えるところはキッチリ笑わせて、泣けるところはガッツリ泣かせるという演出にメリハリがある作風なんですな。

登場人物が生活している時代は非常に居心地の悪い時代にも関わらず、そこまで悲壮感が漂っていないのは監督の技術だと思います。

 

広がっていくパンスの世界

消えてしまうかもしれない母国語を守るために辞書を作っていくのが本作の大筋なのですが、主人公パンスが非識字者というのもストーリーの重要なファクター。

そして辞書作りに参加しているうちに、自分も一語一語言葉の読み書きを覚えていき、そして道を歩けば看板に書いてある意味が理解できて世界が広がっていくという。

本当に観ていてホッコリします。ユ・ヘジンの演技が光ります!

 

 

まとめと総評

歴史的な背景を知らなくても十分楽しめる作品。

楽しみ方は人それぞれですが、軽~い気持ちで鑑賞するのが吉かと。

みどりは韓国には行ったことないのですが、ご高齢の方々は皆さん日本語がペラペラだとよく聞きます。

本作で描かれていた時代を生きてきた名残なのではないでしょうかねぇ。

 

鑑賞前に心配していた抗日ムードもほとんどなかったのもポイント。

一応悪役日本人(?)の立ち位置に立っていた方はあの『鬼手』(みどりの感想はコチラ)で負けず嫌いの雑草役だったホ・ソンテさんが演じておられます。

この人もいい味出していまして、日本語も上手かったですよ~

そんなわけで評価は、、、

 

☆☆☆☆

 

高いです!大いに笑えて大いに泣けますぞ!

 

 

本作のオム・ユナ監督が脚本を手掛けた名作。

ソン・ガンホ、そして今回のユ・ヘジンも出演しています↓

 

 

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