テアトルみどり座

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不思議な戦争映画でした…『この世の果て、数多の終焉』感想と見どころ ※少しネタバレ

この世の果て、数多の終焉

原題:LES CONFINS DU MONDE

2018年 フランス

監督:ギョーム・ニクルー

上映時間:103分

鑑賞日:2020/8/15

劇場:kino cinema横浜みなとみらい

 

 

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 こんにちは!支配人のみどりです。

今回ご紹介する作品は『この世の果て、数多の終焉』。鑑賞する決め手となったのはこのポスターでして、いわゆる“ジャケ買い”という訳ですな

すっごいカッコイイデザインだと思いませんか?

腰掛ける主人公の目は虚ろで、瞳の奥には狂気が潜んでいる気配。

名作『地獄の黙示録』やマイケル・J・フォックスの『カジュアリティーズ』のような戦争の狂気を描いた作品というのが鑑賞前の印象です。

今回は少しだけネタバレ気味でお送りします。

ではあらすじからどうぞ!

 

 

あらすじ

1945年3月、フランス領インドシナ。現地に進駐していた日本軍がクーデターを起こし、それまで協力関係にあったフランス軍に一斉攻撃を仕掛けた。駐屯地での殺戮をただひとり生き延びた青年兵士ロベール(ギャスパー・ウリエル)は、兄を殺害したベトナム解放軍の将校ヴォー・ビン・イェンへの復讐を誓い、部隊に復帰する。しかし険しい密林でのゲリラとの闘いは苛烈を極め、憎きヴォー・ビンの居場所は一向につかめなかった。その悪夢のような日々のなか、マイ(ラン=ケー・トラン)というベトナム人娼婦に心惹かれていくロベールだったが、復讐の執念に駆られる彼はもはや後戻りできなくなっていた…。

 

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本作のパンフレット。ロゴもカッコイイですね!

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主要キャスト

ロベール・タッセン:ギャスパー・ウリエル

日本軍の大量虐殺から奇跡的に生還する。その気になれば除隊して故郷へ帰れるはずであったが、兄の復讐の為戦地に留まる。

 

サントンジュ:ジェラール・ドバルデュー

現地在住の年老いた作家。ロベールに帰郷して家族を作りなさいと促す。

 

マイ:ラン=ケー・トラン

ベトナム人娼婦。傷ついたロベールにスープを与えたのをきっかけに、彼は彼女の身体に逃避するようになる。

 

 

見どころ

暗鬱とした緑

ジャングルが戦地という事で、本作のイメージカラーはずばり“緑”

全編がじめっとしていて実に居心地が悪い世界を繰り広げています。

それは死体が流す血や、マイの美しい裸体までも緑に染まっているような錯覚を覚えるほど。

ポスターのイメージそのままなんですよね~

 

ロベールはどこに向かっていくのか!?

オープニングからプロットを追っていくと、戦争という舞台を使った復讐劇かと誰もが思うでしょう。しかし途中から徐々にそれが変化していくんですよね。

主人公ロベールは除隊のチャンスを蹴ってまで兄の復讐を誓った。しかし戦況は時間を追うごとに悪化。次第に彼は薬とマイの身体に溺れて行き、目標を見失っていきます。

そして行き着いた先とは?

 

 

まとめと総評

実に不思議な戦争映画でした。

通常の戦争映画が語りかけてくる、反戦のメッセージや悲壮感といった類のものが本作には全く感じられない。

戦争のせいで人々の精神が蝕まれていく様というのもそこまで感じることは出来ず、ただただロベールが我々と同じような一人の“弱い”人間という描写が続いていきます。

この物語のきっかけにとなったのは戦史上、明号作戦という名前が付いているのですが、この出来事に沿った映画は実は稀らしく、戦史マニアの方には非常にお勧め!

 

復讐先の将校も実は最後まで姿を現しません。そこは『桐島、部活やめるってよ』を思い出してしまったみどりです。

やっぱり本作はフランス作品でしたねぇ。かなりのシークエンスで観客に解釈を求める場面が多く、それは監督曰く、作品に重厚さを求めた結果との事でした。

こういったぼんやりとした演出が苦手な方にはおすすめできませんが、たまには戦争映画で鬱になりたい方には断然お勧めです!

さて、本作の評価は、、、

 

☆☆

 

今年はフランス作品がやや弱いですねぇ…。

 

 

やはりど安定の名作はこちらですよね ↓

遂に今年IMAXで公開されたファイナルカット版も発売!

 
 
「え?マイケル・J・フォックスって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だけじゃないんですか?」との問いには本作と『摩天楼はバラ色に』を勧めています ↓
 

 

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