テアトルみどり座

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劇場で鑑賞できる日を待っておりました!『地獄の黙示録 ファイナル・カット』感想と見どころ

地獄の黙示録 ファイナル・カット

原題:Apocalypse Now FINAL CUT

2019年 アメリカ

監督:フランシス・フォード・コッポラ

上映時間:182分

鑑賞日:2020/2/28

劇場:109シネマズ湘南 IMAX

 

 

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 本作のオリジナル版の公開は1980年。2歳のみどりを『七人の侍』に連れていった父も流石にこれは観せられなかったのか、本作をリアルタイムに劇場で鑑賞する事はかないませんでした。

 

まあ大人になってから何度か自宅で鑑賞していたのですが、不思議と必ずある箇所で眠くなるのです(苦笑)

 

それはカーツ大佐が登場してから。マーチン・シーン扮する、ウイラードが王国にたどり着いた本作のクライマックス。デニス・ホッパーも加わる山場ですよ。しかしみどりは襲い来る睡魔と戦っているというね。

 

でもこれはアレでしょ?

自宅で寝っ転がりながら、お菓子食べ食べして観ているから眠くなるんであって、劇場の大画面と迫力ある立体サラウンドの音響下でガッツリ観たら、あのシーンも心躍らせて観ることが出来るんでしょ?

 

とギャンブラーのような淡い希望的観測を募らせながら本作を鑑賞しました。

 

最初にことわっておきますが、本作は好きか嫌いかでいうと大好きなんです。

自国=善、敵国=悪といった戦争映画における勧善懲悪のパラドックス要素は皆無だし、キルゴア中佐の早朝ナパームのシーンはいつ観ても迫力あって全く色あせない。

そして今回は現代の映像技術を駆使したデジタルリマスターでIMAX。

作品のファンなら胸躍りますよね!

ではあらすじから、

 

 

あらすじ

サイゴン、季節は夏。

ホデルのベッドで、ウィラード大尉(マーチン・シーン)は目覚めた。ナ・トランの情報司令部への出頭命令が下ったのはその朝だった。

司令部には3人の男が彼を待ち受けていた。将軍、民間人、そしてルーカス大佐(ハリソン・フォード)。出頭してきたウィラードにある男の説明がされる。その男の名はウォルター・E・カーツ(マーロン・ブランド)。第5特殊部隊の作戦将校。叙勲歴数千回。軍部の最高幹部となるべきその男を“殺せ”との指令だった。

現地人部隊を組織・訓練するために、ナン上流のジャングル奥地に潜入したカーツ大佐が、その後まったく連絡を断ち、ジャングルの奥地に『王国』を築いてみずからそこの支配者に君臨しているとの事。河をさかのぼり、アメリカ軍の恥である錯乱者カーツを見つけ出し暗殺せよ。

これがウィラードに課せられた任務であった。

 

 

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日本公開オリジナル版のパンフ。昭和55年発行で価格は500円でした。

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裏はキルゴア中佐のヘリ。「DEATH FROM ABOVE」のロゴがイカシます。

主要キャスト

ウィラード大尉:マーチン・シーン

酒浸りで錯乱状態にあった彼に課せられた特殊任務。これによって冷静な判断力を取り戻していく。

 

カーツ大佐:マーロン・ブランド

第5特殊部隊の作戦将校。祖父・父ともウェストポイント士官学校を首席で卒業。空挺隊員として朝鮮戦争に参加。

 

キルゴア中佐:ロバート・デュバル

空軍騎兵隊第一中隊所属。ベトコン急襲の際はワーグナーの「ワルキューレの騎行」を流す。

そして無類のサーフィン好き。

 

 

 

見どころ

とりあえずお約束のワーグナーから

「地獄の黙示録」といえばコレ。もう代名詞となっています、キルゴア中佐のヘリでの急襲シーン。これ以上「ワルキューレの騎行」というクラシックの大定番が似合うシーンは、恐らくみどりが生きている間は出てこないでしょう。

そして今回はIMAXDMRで蘇り、迫力もひとしお!改めて観ると、これがCG無しで当時撮られた事に感服します

 

火災と攻撃の完璧なタイミングの一瞬を熟練された映像部隊がフィルムに収めたのです。そして有名なエピソードだと、アメリカ軍の協力を得られなかった本作。ヘリはフィリピン軍からお借りしたもので、朝に撮影用に機体をペイント。そして夜には元に塗りなおして返却していたという。現代のCG技術って映画にとって偉大だなと感じます。

あと、砲撃の合間を縫ってのサーフィン、突然の自爆テロ等、ベトナム戦争の狂気がギッシリ詰まったのもこのシークエンス。

 

 予告編の動画が素晴らしいので貼っておきます

因みに0:13に登場する眼鏡の男性はハリソン・フォードです。若いですね↓

 

ウィラード大尉の視点で鑑賞

あえて言及することでもないですが、本作はウィラード大尉の独白から始まり、独白で幕を閉じます。しかし、どうしてもその“視点”から外れてしまう時が訪れるのですが、そうしたら軌道修正が必要です。常にウィラード大尉の視点を意識して鑑賞する事をおすすめします。

 

恐ろしいくらい似合いすぎているドアーズの名曲

ワーグナーだけではない、こちらも注目!

本作のオープニングにかかるドアーズの名曲「ジ・エンド」。

オープニングに「ジ・エンド」というタイトルを持ってくるセンスもいいですよね。

ヴォーカルのジム・モリスンは27歳の若さでこの世を去っています。

フル演奏だと11分の大作ですが、ちょうど本作のオープニング動画があったので貼っておきます。↓

 

 

 

まとめと総評

幾度となく鑑賞してきた本作、劇場で観たのは今回が初めてでして、それもIMAXという最高の環境で観れた事を幸せに思います。

では、肝心の箇所で眠くなったかというと…!?

 

いつものように眠くなりました(涙)

 

なぜなのか自分で分析してみたのですよ。

 

まずカーツ大佐の王国にたどり着く前までは、まさにベトナム戦争における狂気と虚飾のオンパレードで彩られていて、なんか訳の解らないアドレナリンが噴出するマジックにかけられるのです。

そして一旦クールダウンしたちょうどその時にカーツ大佐との邂逅。

そして大佐の相手を洗脳するかの如くの演説が、みどりの副交感神経を刺激してきて落ちていく。

この負の方程式はIMAXという最高の条件でも払拭される事はありませんでした。

 

でもこれも毎度の事なのですが、エンドロール前のウィラード大尉の最後の独白、

「地獄だ、ここは地獄だ…。」

でハッと我に返る。

 

本作は撮影中、色々困難に陥り撮影が長期に及んだ事でも有名。特に長期に及んだゆえにはらんだ資金不足は有名で、「ゴッド・ファーザー」の2作を大ヒットさせたコッポラはその利益を全て本作に投じても足りなかったらしいですよね。そしてあまりにも撮影が長期に伸びたせいで、自分でも何を撮影しているのか後半解らなかったという話があります。

 

初見でご覧になる方は鑑賞後、一体この話はなんだったのか?と自問するかもしれませんが、気にする事はありません。

キューブリックの名作「2001年宇宙の旅」も理解できないことが作品の魅力というのもあるくらいですから。本作も監督自ら訳が解らなくなっているので、これもまた一興です。しかし、エンドロールを観ている最中、『おしつけがましい』反戦の映画ではない事だけは誰でも理解できると思います。繰り返してはいけないベトナム戦争の狂気に憑りつかれた人間模様を感じる事ができれば、本作を観た価値は得られていると思いますので。

 

そんなわけでみどりの評価は、

 

☆☆☆☆

 

殿堂入りとはいかずともこれくらいは余裕の名作かと。

 

既にソフト化も始まっていましたね↓

 
 
ドアーズのベスト盤。「ジ・エンド」もフル尺で収録されています。↓
 
ゲーム中盤で入手できるロケットランチャー的な高火力武器。
その名も『キルゴア中佐』。しかも入手するには「ワルキューレの騎行」のレコードが必要という。ナイスリスペクト!↓

 

 

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