LETO-レト-
原題:LETO
2018年 ロシア フランス
監督:キリル・セレブレンニコフ
上映時間:129分
鑑賞日:2020/7/29
劇場:kino cinema 横浜みなとみらい
本作の予告を観た時は、アラフィフ世代には外してはならない青春映画の金字塔『フットルース』のロック版かと思いましてね。
抑圧されたペレストロイカ前のソ連で、若者達が西側のロックを叫ぶ!
なぁんて稚拙な予測をした次第です。
しかし鑑賞してみて全く違う、とてもいい意味で予告に騙された感がしました。
そもそも前述した『フットルース』はあくまでフィクションでして、ある事件がきっかけにその町でロックとダンスが禁止されて、主人公がそれを取り戻すお話。
この『LETO-レト-』は実話と知ってダブルの驚きだったのですよ。
とりあえずあらすじからどうぞ!
あらすじ
1980年代前半、西側諸国の文化は禁忌とされていたソ連時代のレニングラード。レッド・ツェッペリンやTレックスなどのロックスターの影響を受けたアンダーグラウンドロックが花咲こうとしていた。
その最前線で人気を博していたバンド“ズーパーク”のリーダーであるマイクのもとに、ある日ロックスターを夢見るヴィクトルが訪ねてくる。彼の才能を見出したマイクは、共に音楽活動を行うようになる。その一方でマイクの妻ナターシャとヴィクトルの間には淡い恋心が芽生え始めていた。
主要キャスト
ヴィクトル・ツォイ:ユ・テオ
ロシアで国民的かつ伝説的なロックバンド「kino(キノ)」の創設者。国籍はロシアだが民族性は朝鮮。
マイク・ナウメンコ:ローマン・ビールィク
レニングラードのアンダーグラウンドロックで活動していたバンド“ズーパーク”のリーダー。ヴィクトルの才能を見出し、彼を献身的にサポートする。
ナタリア・ナウメンコ:イリーナ・ストラシェンバウム
マイクの妻。ヴィクトルを好きになる。
見どころ
自由な映像は正にロック!
全編白黒ですが、時折赤…というよりもピンク系の色が正にPVのように差し込まれる瞬間が心地よいです。
監督の意向ですと、あくまで当時の抑圧されまくっていたソ連には色は無くどこを見ても淀んでいるのですが、音楽というフィルターを通せばそこには僅かに色が見えるとの事。
これがミュージカルのようにカットインしてくる様が作品にスパイスを加えています。
当時の音楽文化を肌で感じる
この『LETO-レト-』のサントラが実に良かったです。
Tレックスやデビッド・ボウイのグラムロックから、トーキング・ヘッズやイギー・ポップといったパンクまで、当時遠く離れたソ連でも、若者は国境を越えて愛する音楽は万国共通だと思いましたねぇ。
みどりも相当音楽に関しては知っている部類ではありますが、本作の主人公ヴィクトル率いるkinoはこの映画で初めて知りました。
彼らのナンバーも何曲か聴く事ができるのですが、みどりが一番ぶっ刺さったのが「Once You Were a Bitnik」という曲。
本編シークエンスではドラム担当が兵役に行ったため脱退、そして2人になってしまってドラムをビートボックスに変えて初めてのライブで演奏された曲。
曲もさることながら、演奏中にマイクがギターで乱入する様もとにかくカッコよかった!
グラムがお好きな方は是非聞いてみて下さい。
コチラはオリジナル版です↓
まとめと総評
ライブは原則着席体制で、立ちあがってモッシュやヘドバンはもっての他、時には誰かの自宅を借り切ってシークレットライブが行われていたレニングラード。
このような時代の軋轢が若者を抑えつけている様を予想して鑑賞したのですが、そういった時代の悲壮感というのがあまり前面に出ていないといのが正直な感想です。
むしろペレストロイカ直前のソ連で起こっていた「ロックの世代交代」といった内容でした。
特に前半のヴィクトルとマイクの初対面のシーン。仲間でビーチで盛り上がっているシーンが作品の象徴として映えていました。またこのシーンがとってもいいんです…。
ヴィクトルとマイク、運命的に二人は出会い、そしてターニングポイントとなったあの夏の日。タイトルのLETOとはロシア語で“夏”を表します。
という訳で評価は、、、、
☆☆☆
そのビーチのシーンでは男性の局部もまんま出ていますので、苦手な方はご注意を。
映倫の懐の深さに感服。
激烈オススメのサントラ ↓
spotifyでも聴くことができます。