テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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忙しい生活に一寸の清涼感を『天国にちがいない』感想と見どころ

天国にちがいない

原題:It Must Be Heaven

2019年 フランス、カタ-ル、ドイツ、カナダ、トルコ、パレスチナ

監督:エリア・スレイマン

上映時間:102分

鑑賞日:2021/1/30

劇場:kino cinema横浜みなとみらい

 

 

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 こんにちは!一人で散歩に行く事はあまりないですが、誘われればテンション高めで行ってしまう支配人のみどりです。

 

 みどりがオーストラリアに滞在していた頃の話で、最後の1か月で一人旅をしたんですね。住んでいたゴールドコーストから反時計回りにグルッとパースまで。

そこからパースからは日本直行便が飛んでいましたのでそこから帰国すると。

 

いまでも道中の風景を思い出せます。そして出会った人たちも。

それはさながらロードムービーのよう。色んな場所に一人でふらっと赴き、そこで何を考えるのか。これはみどり限定かは解りませんが、この時驚くほど頭が明晰になっているのを感じるんですよね。

色んな悩みに的確な結論が出てしまうと言いますか。

作品の趣旨とは少し違ってくるかもしれませんが、今回ご紹介する作品『天国にちがいない』の予告編を初めて観たとき、この豪州一人旅を思い出してしまい今回鑑賞しました。

本題に入る前に、本作を鑑賞するにはパレスチナという国を理解する事から始めるといいです。

中東、パレスチナはもともと現在のイスラエルとパレスチナ自治区、一部地域を除くヨルダン、レバノンとシリアの一部を指していましたが、1948年ユダヤ人によるイスラエル建国宣言によって、先住のアラブ人は「国外」に逃げて難民となるか、その地に留まるかの選択を迫られました。そして後者を選んだ人は強制的に「イスラエル人」にさせられてしまったという。

この複雑な境遇で生まれ育ったのが本作の監督エリア・スレイマンです。

 

 

あらすじ

映画監督のES(エリア・スレイマン)は自宅で物思いにふけりながら静かに日常を送っていた。彼の目に映る日常はユーモアに溢れている。

ある日ESは住んでいる自宅を引き払ってパリへと旅立った。自身の映画作品を売り込むために…。

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本作のパンフレット。横長コンパクトのサイズいいですね!

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相変わらず四方田犬彦さんのコラムは面白いです。



 主要キャスト

ES:エリア・スレイマン

ナザレ在住の映画監督。

 

 

見どころ

コンセプチュアルアートのようなシーン

本作の主人公であるESはほとんど喋りません。故に映像で物語が流れていくのですが、このシーン毎が前衛的なアート作品のようで本当に飽きが来ないんです。

みどりが一番好きなのはゴミ箱に入りきらず(?)周囲に雑然と並べられた空き瓶の画。

これは立ち止まって見てしまいますねぇ!

 

 

まとめと総評

以前ご紹介しました『ホモサピエンスの涙』(みどりの感想はコチラ)と同じ空気がしますが、こちらの方がナチュラルなアートのような気がします。

冒頭で散歩の話をしましたが、普段通い慣れた道もたまには違った視点で見るとそれはいつもと異なる世界へと変換されると思うんです。

憂鬱な仕事が控えている通勤路、これも休日に普段着で歩いてみれば通勤時に見つけられなかった小さな幸せが見つかるかもしれません。

本作はこういった気持ちにもさせてくれます。

 

とは言いつつも、前述しました通りパレスチナについての基本事項は抑えておいて損はありません。

そうすればラストのこみあがり方もひとしおかと。

というわけで本作の評価は、、、

 

☆☆☆

 

また一人旅に行きたいですなぁ

 

 

 
 
 

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