テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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すっかり10ANTSのファンになりました『ひとくず』感想と見どころ

ひとくず

2019年 日本

監督:上西雄大

上映時間:117分

鑑賞日:2021/1/23

劇場:シネマジャック&ベティ

 

 

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 こんにちは!どんなグロ描写もそこそこ耐性があるものの、力の弱い者が虐げられているシーンは目を背けてしまう支配人のみどりです。

もう子供や女性が乱暴されているシーンなんかに比べると、ゴア表現マックスのホラー作品なんて食事しながらでも鑑賞できますね。

 

今回の作品は児童虐待がテーマになっている『ひとくず』です。

 

凄く楽しみにしていた作品なんですが、御多分にもれずコロナの影響で実に1年以上も公開が先延ばしとなってしまった作品。

今回やっとの事で観る事ができまして、早速公開初週にジャック&ベティへ。

めちゃくちゃ混んでるなと思ったら、この日監督主演の上西雄大さんと古川藍さんの舞台挨拶がありまして。これはラッキーでしたね(笑)

 

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ダンディな上西監督と、ずっと笑顔を絶やさない古川藍さん

作品に対する真摯な姿勢の上西監督、さっきまで作中怒声を上げまくっていた古川さんの始終笑顔のギャップに対、一気にファンになってしまったみどりでした。

 

 

あらすじ

掃きだめのような散らかった部屋で垢にまみれた子供がうごめいている。

空腹で冷蔵庫を漁ってみても空のマーガリンしか入ってなかった。それでもこの少女、鞠(小南希良梨)は指で箱の隅のマーガリンを舐めていた。

突然部屋のガラスが割れる音がして鞠はとっさに隠れる。中年男性が空き巣に入ってきたのだ。男の名は金田匡朗(上西雄大)と言った。匡朗は鞠を見てとっさに何かを感じとった。自分も幼い頃に受けていた虐待という闇を…。

 

 

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本作のパンフレット。撮影秘話が面白かったです!

 

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裏にはサインを頂きました!

 

 

主要キャスト

金田匡朗:上西雄大

空き巣を生業としている社会的破綻者。自分も子供の頃虐待を受けていた事もあって、押し入った家で虐待を受けていた鞠を放っておく事が出来ない。

 

北村鞠:小南希良梨

母親、その彼氏からも虐待を受けていて、身体にはアイロンの火傷がある。空き巣に入った金田に心を開き「カネマサ」と呼ぶようになる。

 

北村凛:古川藍

鞠の母親。彼女もまた虐待の被害者。故に娘の愛し方を解らないと金田に告白する。

 

 

見どころ

3人で焼肉を食べるシーン

みどりはこのシーンが響きに響き過ぎて、白眉どころか生涯ベスト級の名シーンに数えたいくらいでした。

初めて過去を激白して感情を露わにするカネマサ、彼にシンパシーを抱き始めたかそれでもまだ訝しげにな表情でビンビールを酌する凛。それを見てなんだか少しだけ嬉しそうな鞠。この3人の心が通じる瞬間が本当に良かった!

 

舞台挨拶の後、パンフレットにサインを頂いている時に、

「あの焼肉のシーン、めちゃくちゃ感動しました!」

と伝えたかったですが意外と小心者のみどりはそんなたいそれた事は言えなかったです(涙)

 

 

インディペンデント作品ゆえの自由さと苦悩

これはあくまで私見ですが、昨今の邦画って製作者のわがままが通らないゆえに面白い作品が生まれない傾向にあるんだと思うんですよね。

それは演者の事務所の圧力だったり、予算だったり、配給会社のイメージ戦略が監督意向と嚙み合わなかったり理由は様々ですが。

なのでこういったインディペンデント作品のほうが、非常に作り手の思惑が手に取るように伝わってきてエナジーを感じるのです。

 

それでもインディペンデントゆえの苦悩も確かにあって、鞠がいた散らかっている部屋はカネマサの母親役、徳竹未夏さんの実際に住んでいるお部屋で撮影されました。

しかもあの散らかり方も全て工夫されており、鞠がどうやって食べ物を漁っていたのかよく見ると解るように“計算された散らかり方”なのです。

徳竹さんが寝る為にその日の撮影終了後に片付ける事は許されず、彼女は監督のご自宅で寝泊まりしていたとの事。

 

それと興味深かったのは、初めて児童相談所のスタッフとカネマサが対峙するシーン、夜の公演なのですが、異様に暗いんです。それは正に今の日本では児童相談所があまり役にたっておらず、虐待の被害を受けている子供達の心情のメタファーのようにも取れます。

しかし監督曰く、現在の上西組の機材ではあれが一番の明るさだという事。本当か冗談かはさておき、こういった自由さがアートとしての映画を作り上げる事ができるんだなと思うのですよ。

 

 

まとめと総評

 テーマがヘビーなので少し観るのに躊躇してしまいがちですが、「本作を観る」事によって児童虐待に目を背けない姿勢が本作に込められた願いだと上西監督は仰っていました。

映画としての出来も申し分ないので、みどりは自信を持ってお勧めしますよ。

評価は、、、、

 

☆☆☆☆

 

すっかり上西監督率いる10ANTSのファンになりました。次回作が楽しみです。

 

俳優の加藤雅也さんはこの作品を彷彿されたそうです。

なるほど! ↓

 
最近の作品だとコチラもお勧めです。
テーマとしては韓国の方が得意な分野ですかね ↓
 
これもしんどい話でした ↓

 

 

 

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