行き止まりの世界に生まれて
原題:Minding the gap
2018年 アメリカ
監督:ビン・リュー
上映時間:93分
鑑賞日:2020/9/17
劇場:シネマ ジャック&ベティ
こんにちは!支配人のみどりです。
今回ご紹介する作品は『行き止まりの世界に生まれて』というドキュメンタリー。
こちら以前ご紹介した『mid90s』(みどりの感想はコチラ)とセットで鑑賞する事を勧められておりまして、生きづらく日々の情熱をスケボーにすがるしかない若者達の物語。
舞台はラストベルトという“さび付いた工業地帯”と呼ばれるイリノイ州はロックフォード。
こちら1970年代までは凄い豊かな街だったそうで、誰もが汗を流せば一軒家が買えた時代があったそうです。しかしそれは30年くらいで急速に低下、アメリカの産業がより効率のよい金融やITに変わりすっかりさび付いてしまって人工の減少も著しいそうです。
とりあえずあらすじからどうぞ!
あらすじ
“ラストベルト”に位置するイリノイ州ロックフォード。スケートボードを通じて出会ったキアー、ザック、そしてビン。早朝無人の街、3人はスケートボードを滑らせ広く果てしない道をどこまでも自由に駆け抜ける。
“行き止まり”の小さな街でもがき生きる彼らを、12年間にわたる映像の記録と共に、ビンのカメラは余すことなく映しだしていった。
主要キャスト
キアー
父親の虐待が原因で家出をする。18歳になって初めてレストランの皿洗いの仕事に就く。
ザック
ニナという彼女との間に子供ができる。しかし二人の間は円満という訳ではなく、言い争いが絶えない。
ビン
継父に暴力を振るわれた過去がある。本作の監督。
見どころ
よくぞここまで撮っていた
本作はビンによる12年間の仲間たちとの記録。それはスケボーシーンだけでなく、楽しいパーティーの場面から、悩みを打ち明ける映像まで。
みどりも20代の時にビデオ撮影にハマった時代があったのですが、ここまで撮るのはかなりの根気がいると感じています。
これだけの記録映像であるならば、1本の映画に仕上げられると静かに実感。
仕上げは監督本人の問題へ
撮影はビンによるものですから、本編はキアーとザックの映像がメインなんですね。
しかしクライマックスでビンの母親にインタビューする、本作の仕上げというべきシークエンスが胸を掴みました。
まとめと総評
はい!ドキュメンタリーとしては大変すばらしい作品だったのですが、みどりは違和感まみれで劇場を後にしましたよ。
まず声を大にして言いたいのは「お前ら甘ったれんな!」
時給15ドルにも満たないって、みどりが住んでいる地域の最低賃金は1012円。
1ドル=100円と計算して1500円の時給払うところなんて深夜の肉体労働でもきょうび難しいのが現状。
そしてザックという男。若くして彼女との間に子供をもうけた二人はまだ遊びたい盛り。そして子供の世話をめぐって言い争うシーンでは、
二人して避妊もせずよろしくやっていたんだから自業自得だろと…。
挙句暴力をふるうなんてね、それをラストベルトかなんだかのせいにして自己弁護されても説得力ゼロも甚だしいと憤りを感じたわけですよ。
自慢ではないですがこのみどりも10歳で母親と死別。当時仕事人間だった父はみどりを遠く離れた九州の実家へ預け仕事に没頭し、祖父母に2年間育てられました。そこで実は祖母もみどりの実の祖母ではないことをこのタイミングでカミングアウトされちょっとした人間不信に陥った時期もありました。
それでも今は人としての道を踏み外さず、普通に社会人としてやっていけています。
要するに、本人が正しいと信じれば何でも出来るし、どこにでも行けるのです。この場所が自分にとっての居場所ではないと思えば場所を移せばいいだけなのです。
もっと悲惨な地域もあるこの世界、ここを行き止まりとジャッジするにはまだ早いだろうと。
という訳で今回の評価は、、、
☆☆
かなり私情が入った評価です(笑)。
評論家の町山智浩さんもオバマ元大統領も大変高い評価をされていますので、是非鑑賞してみてくださいね。
『mid90s』もいいけどスケボームービーではこちらもお勧め!
ラリー・クラーク作品ってなんか観るのが年々困難になっているのが悲しいです ↓