テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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たまには寂しさを堪能しては?『スピリッツ・オブ・ジ・エア』感想と見どころ

スピリッツ・オブ・ジ・エア

原題:SPIRITS of the AIR GREMLINS of the CLOUDS

1988年 オーストラリア

監督:アレックス・プロヤス

上映時間:96分

鑑賞日:2020/9/21

劇場:シネマ ジャック&ベティ

 

 

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 オーストラリアのアウトバックには独特のペーソスがある。

こんにちは!オーストラリアでのワーキングホリデー経験者の支配人みどりです。

 

因みにアウトバックとは内陸の砂漠地帯の事。赤土で覆われた人間にとっては過酷な環境でして、昼間は40℃近くまで気温は上昇、夜は季節によってはマイナスまで下がる地域です。

 

滞豪中、みどりはルームメイトと車で旅をしてきました。大陸を真ん中でアデレードからダーウィンまで縦に伸びているスチュワートハイウェイ。ハイウェイといってもただの舗装された道です。

そこは一度入ると400kmおきにしかガソリンスタンドが無く、そこで寝泊まりもするというね。なので満タンで400km走らない車は予備タンク必須。イメージは『ターミネーター』のラストでサラが立ち寄ったガソリンスタンドを思い出して頂ければと。

あんな感じです。

 

みどり達は1日にその400kmをノルマにして走っていたのですが、すれ違う車が1日に1台の日とかありました…。

360度地平線、もはや地球上の生物は自分たちだけなのではないかと錯覚してしまう場所。そんな場所を舞台にした今回の作品は『スピリッツ・オブ・ジ・エア』。実はこちら1988年に既に公開されておりまして、30年ぶりの日本公開なんですな。

初公開後のVHSリリース後、日本ではDVD化も配信の機会にも恵まれず、鑑賞困難な作品でした。

とりあえずあらすじからどうぞ!

 

 

あらすじ

果てしなく広がる荒野に一軒だけの小さな家。辺りには地面に刺さった十字架、古びた車などが無数に見える。ここに住む足の不自由な男、フェリックス(マイケル・レイク)。車いすの生活を送りながら、手作りの飛行機によって空を飛ぶという妄想に憑りつかれ、いつかこの場所からの脱出を夢見ている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティ(ライズ・デイヴィス)は、この場所を一生離れてはいけないという父の遺言を忠実に守り、十字架に囲まれて暮らしていた。

そんな二人の生活の中に、ある日スミス(ザ・ノーム)と名乗る逃亡者が迷い込んできた…。

 

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本作のパンフ。この空と大地のコントラストたまらんですな!

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ゆうばり映画祭創設プロデューサーの小松澤陽一さんのコラム良かったです。


主要キャスト

フェリックス:マイケル・レイク

手作りの飛行機を作り、スミスの逃亡を手助けする。しかし彼のこれまでの飛行距離は6mが最長だった。

 

スミス:ザ・ノーム

何者かに追われている身。フェリックスの飛行機制作の手伝いをする。

 

ベティ:ライズ・デイヴィス

1日中楽器(のようなもの?)を弾いている。スミスの事を悪魔の使者と思い込み、追い出そうとする。

 

 

見どころ

ほとばしるアート!!

フェリックスの家の周りは無数の十字架や、古い車が地面に刺さっていたりと観光名所になってもおかしくなく、滞豪中何故訪れなかったのか酷く後悔の念にかられました。しかしよくよく調べるとこちら全てミニチュアセットとの事!

これがアウトバック特有のウイスキー色の大地、ターコイズブルーの空、そして燃えるような夕日に凄くマッチするんです。

もうオープニングのシーンなんてずっと観てられますよ!

もしもふらっと入ったバーでこのシーンが流れていたら、そこには死ぬまで通いますね(笑)

 

ほどよい不透明性

スミスは何故・誰に追われているのか?

妹の頭は正常なのか?

そもそも何故この兄妹はこんな不毛な土地に住んでいるのか?

等々考えるとキリがないのですが、これらの説明は一切ありません

こういう作風苦手な人多いですよねぇ。だけど本作は映像からのアーティスティックな空気により、あまり細かい事が気にならないんですよ。

それよりもフェリックスがどういう気持ちで飛行機を制作していくのか、あるいはスミスがいなくなった後、二人の生活にどういう変化が訪れるのかといった許容範囲での妄想を楽しめる作りになっていますよ!

 

 

まとめと総評

アウトバックはですね…、寂しいんですよ…。

しかしホームシックにかかる寂しさではなく、自分の人生を思い返す寂しさと申しますか。

もしもみどりが余命宣告を受けたとして、経済的に余裕があるのなら間違いなくこの地で朽ちていきたい。

そんな世捨て人がとても似合う舞台で、こんな傑作が80年代に撮られていたのです。

このアレックス・プロヤス監督はこの後、『ノウイング』や『キング・オブ・エジプト』といったラジー賞の常連作品を世に送る事になりますが、この作品がピークだったのかと思うとそれもまた寂しい…。

制作費はなんとたったの30万ドルというのも驚きです。(因みに上田慎一郎監督の『スペシャルアクターズ』が5000万円(50万ドル))

そんな訳で評価は、、、

 

☆☆☆☆

 

またお家時間が増えそうな昨今、独りで本作を鑑賞するのもおつだと思いますよ!

 

 
 
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みどりが帰国後、すぐさま鑑賞した作品です。
 
そして忘れてはいけないのがみんな大好きこの作品 ↓
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