テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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時代の変化を感じて『ヤクザと家族 The Family』感想と見どころ

ヤクザと家族 The Family

2020年 日本

監督:藤井道人

上映時間:136分

鑑賞日:2021/2/1

劇場:109シネマズ湘南

 

 

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 こんにちは!刑事ドラマは『太陽にほえろ』『あぶない刑事』、ヤクザ映画といえば北野作品推し支配人のみどりです。

 

 初めて『踊る大捜査線』を見た時、

刑事ドラマもこれを機会に大きく変わるんだろうなと感じたものです。

これまで石原軍団の刑事ドラマでよく見られたあり得ない演出、市街地で平気でドンパチがおっぱじまる不条理ともいえるアクションも次第にフェードアウトしていくと予感したのです。

 

『踊る~』の何が凄かったかって、これまでの事件解決系のシークエンスを失くさずに、警察内部のしがらみも我々視聴者に示した事。これにはみどりも衝撃を受けたものでした。

 

あんなブラインドから外を覗いてばかりいる管理者がいたり、銃身を短くした改造ショットガンを上空からぶっ放すなんて寓話の世界のお話。

まあ当時はこれはこれで楽しんでいましたがね(笑)

 

そして今回ご紹介する作品『ヤクザと家族 The Family』もこれまでのヤクザ映画の常識を覆す作品になりえると思ったのですよ。

 

冒頭でも語った通り、みどりのヤクザ映画の概念は北野作品に集約されています。

一応父親世代の影響で、『仁義なき戦い』シリーズや『網走番外地』なども観たことは観たのですが、北野作品の方が響きましてねぇ。

しかし本作を観た後は、その北野作品も過去のものにしてしまうパワーを感じた次第で。

まずはあらすじからどうぞ。

 

 

あらすじ

その日ぐらしをしている山本賢治(綾野剛)は悪友の細野(市原隼人)と大原(二ノ宮隆太郎)を連れ立って行きつけの食堂で飲んでいた。

そこに偶然居合わせた柴咲組組長の柴咲博(舘ひろし)をチンピラの襲撃から救う。

これが二人の出会いであった。

後日、柴咲組と敵対する侠葉会若頭加藤(豊原功補)と若頭補佐の川山(駿河太郎)によって拉致されてしまう山本たち。過去に侠葉会の息のかかった売人から覚せい剤を横取りしたことが原因だった。

しかし、先日柴咲を救った山本は彼から名刺をもらっていて、その名刺が今回のトラブルを解決に導く事になる。

この物語は1999年、2005年、2019年とヤクザという生き方を選んだ山本の壮大なストーリーである。

 

 

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本作のパンフレット。紙質が最高にいいです!

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舘ひろしの芝居に対する真摯な姿勢を感じました。

 

主要キャスト

山本賢治:綾野剛

父はバブル崩壊後に覚せい剤に手を出して命を落としている。そんな父を奪った薬物と提供したヤクザを忌み嫌っていたが、柴咲博との出会いで柴咲組の構成員となる。

 

柴咲博:舘ひろし

柴咲組組長。昔気質の親分で組員からの信頼も厚い。自暴自棄になっていた山本に手を差し伸べた。

 

工藤由香:尾野真千子

山本の恋人。相手が誰であろうと物怖じしない勝気な性格。

 

大迫和彦:岩松了

静岡県警組織犯罪対策本部の刑事。

 

木村翼:磯村勇斗

山本と柴咲が行きつけにしていた飲み屋の息子。彼の父もまた極道で既に他界している。

大人になってからは地下格闘技にセキュリティ会社経営と半グレのエリートコースにのる。

 

 

見どころ

令和のヤクザはペーソスに溢れている

昔、菅原文太のヤクザ映画を観た観客、とりわけ男性は劇場から肩をいからせて退場してきたくらい観る者を虜にしてきました。そしてそんな漢の姿に憧れ羨望の眼差しを向けていたそうです。

 

そして時は流れて令和の現在、本作で描かれているヤクザは皆寂しく惨め…。

 

暴対法の影響力、国が本気で暴力団を壊滅する姿を本作で垣間見れる事でしょう。

ヤクザは銀行に口座も作れず、携帯さえ持つことを許されず、そしてその子供は幼稚園にも通う事が出来ない。大迫刑事に詰め寄る山本とのシーンが印象的でした。

山本「なら俺たちはどうやって生きていけばいいんだよ!?」

大迫刑事「お前たち(ヤクザ)が今まで何をやってきたかよく考えてみろ!!」

このやり取りにみどりは個人的にグッときました。

 

やっぱりヤクザってカタギの我々にとっては怖い存在なんです。みどりが高校生の頃、飲食店でアルバイトをしていた時代に、しつこくみかじめ料をせびりに来ていたチンピラを疎ましく見ていました。

菅原文太や高倉健のような博徒は映画だけのお話で実在しません。

例え実在しても我々一般人がおいそれとお目にかかれるような方ではないのでしょう。時代がやっと目を覚まし、本気で暴力団と戦う姿勢が整った現代のヤクザに未来は見えません。

夜中の密漁で大き目の魚が取れてはしゃいでいる姿はとても小さく見えました。

 

 

まとめと総評

鑑賞前には全くノーマークだった磯村勇斗さん。エッジが効いたいい演技するなぁと思ってたらこの人も「仮面ライダー」シリーズご出身なんですね。綾野剛といい最近の仮面ライダーを見ていたらネクストブレイクが解ることこの上ないですな!

 

さてさて日本アカデミー賞にも輝いた『新聞記者』のスタッフで制作された本作、現代のヤクザ映画のお手本となるのか。後続の作品に対する影響力に注目していきたいです。

任侠を貫く極道という生き方をするには多大なる無理が祟る令和の日本。

鑑賞しただけで自分が強くなったと感じる作品はもう出てこないのでしょうかね…?

評価は、、、

 

☆☆☆☆☆

 

やっぱり満点になってしまいました。

 

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この頃のヤクザは怖かった…とリアルに感じる作品の傑作。
現代のヤクザが生き難い世の中になってカタルシスを感じます。
 

 

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