テネット
原題:TENET
2020年 アメリカ
監督:クリストファー・ノーラン
上映時間:150分
鑑賞日:2020/9/19
劇場:109シネマズ湘南 IMAX
クリストファー・ノーラン監督の『メメント』を初めて鑑賞した衝撃はもの凄いものでした。
こんにちは!支配人のみどりです。
という訳で今回ご紹介する作品は監督の最新作『テネット』なんですがね、それにしても今年はにっくきコロナのおかげで軒並み話題作が公開延期。
日本は9月時点では世界でも感染者数などの被害が比較的少なめという事で、映画館もようやく調子を取り戻してきましたよね。
しかし制作国のアメリカは未だ感染の規模が広がる一方という事で映画館存続の危機に瀕しています。
公開は世界で足並み揃えてというのが主な公開延期の理由なんですな。まあそれはあくまで理由の一つなので他の大人の事情なんかも絶対にあるとみどりは思っています。
ただ一つだけ懸念している事がありまして、それは今年公開される予定だった『ムーラン』をご存知でしょうか?
記憶が確かなら予告のトレーラーを初めて観たのは去年の今頃だったと思うんです。
それが延期に延期を重ねて、いつの間にかディズニープラスで配信が始まっていたというね…。
個人的に楽しみにしていた韓国作品『がんばれ!チョルス』も気づいたらU-NEXTで配信が始まっていました。
そして先日ある映画ライターが綴っていた記事を拝見すると、
感染リスクもなく、劇場が定めた上映時間に縛られる事もなく、人々は観たい作品を観たい時に自宅で鑑賞するようにシフトしている。
とありました。
至極もっともなご意見ですが、なんとも味気ないですよねぇ…。
やっぱり映画は映画館で!という意見も段々廃れていくんでしょうか…?
いやいやノーラン監督のようにIMAXに拘って作品を撮り続けている監督がいる限りそれは無いと信じたい!
まずはあらすじからどうぞ。
あらすじ
満席の観客で賑わうウクライナのオペラハウスでテロ事件が勃発。罪の無い人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が館内に突入する。部隊に参加していた名もなき男(ジョン・デイビッド・ワシントン)は、仲間を救うため身代わりとなって捕えられ、毒薬を飲まされてしまう…。しかし、その毒薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた名もなき男は、フェイと名乗る男から“あるミッション”を命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというものであった!
人類を滅亡から救うキーワードは「TENET」
主要キャスト
名もなき男:ジョン・デイビッド・ワシントン
ウクライナの作戦から目覚めてから謎の組織に“第三次世界大戦”を阻止するように命じられる。
ニール:ロバート・パティンソン
名もなき男を献身的に補佐する。ムンバイで初めて会ったにも関わらず彼は名もなき男をよく知っていた…。
セイター:ケネス・ブラナー
武器ビジネスの成功者。名もなき男が追い求めている相手。
キャット:エリザベス・デビッキ
セイターの妻。美術品鑑定士をしている。
見どころ
本物に拘るノーラン監督
ノーラン監督といえばCG嫌いで有名。今回も本物がなせる迫力の映像が満載です!
冒頭のオペラハウス襲撃のシーンの観客も全て本物で1000人以上のエキストラを使用しています。催眠弾を撃ち込まれ多数の観客が一斉に眠ってしまうシーンは圧巻の一言。
そして中盤、爆破される旅客機も本物を爆破させています。
プロダクションノートによると、このシーンの何が大変だったかというとまず機体のブレーキを高性能のシステムに組み替えるのが大変だったとありました。シーンにして数分間。絶対に失敗が許されない映像に職人の技術が映えますねぇ。
難しく考えないで
みどりの周りで本作を鑑賞した人は皆口を揃えて「難しかった…」と嘆いていました。
でもそんなに頭で理解しようとしない方が本作を楽しめますよ。
とりあえずタイムトラベル、若しくは既成のタイムマシンの概念を捨てるところから始めましょう。
どうしても我々、特に日本人は『ドラえもん』のタイムマシンのイメージがありますよね。
時間をセットすれば瞬時にその時間に行ける。しかし『テネット』の場合、例えば1時間前に行きたければ、“1時間かけて”そこに行くというね。
要するに時間を逆行させるという訳です。ここを理解するだけで本作をより理解できると思います。
まとめと総評
とは言っても本作は二度見は必至かと思います(笑)
初見で全てを理解するのは到底無理ですかねぇ。でも二回以上観ても退屈さは感じない程素晴らしい作品なのは間違いないですよ。
思えば『メメント』もいきなり結末から始まり、時間を遡って事件を解決するというこれまでの映画の常識を覆した作品でした。監督はここから既に『テネット』の原案を無意識に構築していたのかと感じましたよ。写真は瞬間を切り取るアートであるように、映画は時間を自由に組み替える事が出来る可能性を監督は我々に提示していますよね。
という訳で本作の評価は、、、
☆☆☆
最後にノーラン監督がワシントン・ポストに寄稿された文を、
映画館は闇に包まれてしまった。だが、決して映画がその価値を失うことはない。
この危機を乗り越えた時、人々の集まりたいという想いや、ともに生き、愛し、笑い、泣きたいという願いは、かつてないほど強くなるだろう。映画館はそのすべてを、私たちにもたらしてくれる。
だから、私たちには映画が必要なのだ。