キュアード:(原題)THE CURED
2017年 アイルランド フランス
監督:デイヴィッド・フレイン
上映時間:95分
鑑賞日:2020/3/27
劇場:kino cinema横浜みなとみらい
こんにちは 支配人のみどりです。
ゾンビ映画って中々作りづらいジャンルだと思うんですよねぇ。
ジョージ・A・ロメオが『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を1968年に監督して今年で52年。数多のゾンビ映画が世にリリースされてきました。
死者が蘇って生きている人肉を食らい、噛まれた人も一旦死んでゾンビになりそしてまた人を襲う。
撃退する方法は脳天を打ち抜くか、燃やすか、爆発などさせて四肢の自由を奪うか。
この限られたフィールドから脱して新たな境地を描くのは至難の業かと。
そしてここにきてゾンビを扱った映画の集大成ともいえるFOXのドラマ『ウォーキング・デッド』の台頭により、このドラマの劇中で描かれた以外の事を描写するのは本当に困難を極める事と思います。
みどりも『ウォーキング・デッド』の大ファンで、ずっとシーズンを追いかけて視聴しているのですが、コレ本当に面白いんですよ。
今までゾンビ映画を作ってきた監督さん達の夢の結晶というか、とにかく2時間弱の映画の尺で“やれなかった”事をこのドラマでは1シーズン16話(S1は6話、S2は13話)の中で余すことなくやりつくしている欲張りセットというべき作品。
なのでエポックメイキングなゾンビ映画って無条件で惹かれてしまうんですよね。
本作もそんな新境地を切り開いてくれそうな1本。
本作のパンフレットは制作されていなかったようで、その代わりに公式サイトがとても充実しているので、いつもパンフの画像を貼っている場所にはサイトのリンクを貼っておきますね。
あらすじをどうぞ、
あらすじ
感染したものを凶暴化させるメイズ・ウイルスという新種の病原体が蔓延した近未来のヨーロッパ。なかでもアイルランドは壊滅的であった。
数年後、メイズ・ウイルスの治癒法が発見され、社会は秩序を取り戻す。
しかしこの治療法でも回復しない者も多く、75%は“回復者”と認定され、25%の回復しない人々は軍が管理する施設へ収容されていた。
回復者の一人であるセナン(サム・キーリー)は社会復帰の日を迎えるが、街では彼らを恐れる抗議デモが行われていた。
セナンの身元引受人はジャーナリストの義理の姉アビー(エレン・ペイジ)。感染パニックの中、夫のルークを殺された彼女は、深い喪失感に囚われながらもセナンを優しく迎え入れる。
セナンは毎夜夢をみていた。いくら回復したといえども、感染していた時のおぞましい記憶を脳裏から消す事はできない。その内容は決してアビーに伝えられるものではなかった…。
主要キャスト
セナン:サム・キーリー
メイズ・ウイルスに感染したが、治療により回復。感染して人を襲っていた記憶を夢に見て苦悩している。アビーの夫ルークの弟。
アビー:エレン・ペイジ
ジャーナリスト。夫ルークをパンデミックで亡くしている。セナンを身元引受人として引き取った。
※本作では制作も兼任
コナー:トム・ヴォーン=ローラー
元弁護士で回復者。隔離施設でセナンと出会い特別な友情を抱く。回復者同盟を立ち上げセナンを引き入れようとする。
見どころ
この設定が新しい!
本作が誇る今までに無かった試み。それはゾンビが人間に戻った後の世界。
そして一筋縄でいかないのが、治った人間がゾンビだった頃を覚えているという点です。
この設定はゾンビ業界に新たな息吹をふきこんだと確信しています!
さすがの『ウォーキング・デッド』さんもこの手があったかと奥歯を噛みしめる事でしょう。
そして現実世界にも十分考えられる「差別」がもれなく付いてきますよね。この新たなフィールドで物語が進行していくわけです。
はっきりと記憶しているセナンの苦悩は、寓話といえども観る者の胸を打ちます。
まとめと総評
このように新天地を切り開いた功績は拍手を送りたいのですが、随所にもうひと工夫ほしかったかなと思える点がいくつかありまして…、
治癒法が効かなかった人達の施設の描写がイマイチでしたねぇ。そして全く感染しなかった人たちとの確執をもっと深堀りして描いて欲しかったです。
う~ん惜しい!というのがみどりの率直な意見。
そんな訳で評価は、
☆☆☆
上記をクリアしていれば間違いなく満点評価!
ゾンビ映画新天地シリーズその1
ゾンビが人間に恋するこのお話、下手すればだだ滑りしそうな設定ですが、この作品は秀逸でしたよ! ↓
ゾンビ映画新天地シリーズその2
人間がゾンビになるまでの観察日記のような作品。
主人公が「経血が止まらない!」と狼狽するシーンはトラウマ級 ↓