テアトルみどり座

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彼らの心の叫びを胸に…『子どもたちをよろしく』感想と見どころ

子どもたちをよろしく

2019年 日本

監督:隅田靖

上映時間:105分

鑑賞日:2020/3/27

劇場:シネマジャック&ベティ

 

 

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 こんにちは!支配人のみどりです。

 

今回ご紹介する作品は『子どもたちをよろしく』でして、テーマはいじめ、貧困、職業差別、家庭内暴力、性的虐待と社会が抱える闇の詰め合わせ

 

さらっと紹介してもただならぬGを感じてしまうのですが、今回みどりが本作を選んだきっかけは俳優川瀬陽太さんのファンであったという事。

この方が演じる中年男性がどの作品においても“弱い”んです。

 

個人的にはもう少し評価されてもいいのではないかと思う俳優さんなのですが、いかんせんメジャーな作品には中々登場されないですねぇ。日本アカデミー賞もこういう方をクローズアップしてくれれば、少し見方も変わるのではないかと思う今日この頃。

 

本作でもいい感じに弱い中年男性を好演されていて凄く良かったです。

 

そしてもう一つは女優鎌滝えりさんの演技を観たかったという事。

この方みどりが大好きなSEGAのゲーム「龍が如く」シリーズの最新作、「龍が如く7光と闇の行方」に助演女優として登場されているんです(一番製菓社長役)。まだゲームはプレイしていないのですが、GWに是非やろうと思っています。

ではあらすじです。

 

 

あらすじ

北関東のとある街。貞夫(川瀬陽太)はデリヘル「ラブラブ48」の運転手をしていた。

彼は重度のギャンブル依存症、妻はそんな貞夫に愛想をつかし出て行った。稼いだ金のほとんどはギャンブルで溶かしてしまい、一人息子の洋一(椿三期)の夕飯は毎晩インスタントラーメン。

洋一はいじめにあっていた。いじめの中心人物は稔(杉田雷麟)という男子。彼の家庭は姉の優樹菜(鎌滝えり)と両親の4人家族。姉とは血は繋がっていない。実の父と再婚した母の連れ子であった。

洋一がいじめられていた原因は父親の体たらくからくる貧困が原因で、そのいじめは貞夫の職業にも及んでいく。稔も洋一の父親の仕事をネタにいじめをエスカレートさせていく。

ある日、稔と同じグループの美咲(大宮千莉)が街で貞夫が運転する車を目撃する。その後部座席に座っていたのは姉の優樹菜であった…。

 

予告編です↓

 

 

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カラー写真は皆無で、対談メインのまるでPTAの会報のようなパンフ。これはこれで自主映画のパンフの王道かと。

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「新聞記者」のモデル、望月衣塑子さんと出演者の対談も収録。

 

主要キャスト

洋一:椿三期

貞夫の一人息子。母親が出ていった時の書置きをずっと大切に持っている。

稔のグループにいじめの標的とされている。

 

貞夫:川瀬陽太

デリヘル嬢の運転手を仕事にしている。重度のギャンブル依存症。

たまに勝ってもスナックで散財してしまう救いようのない男。

 

優樹菜:鎌滝えり

稔の姉だが母の再婚によるもので血は繋がっていない。その母の再婚相手から性的虐待を受けている。家には一般事務職と言っているが、実はデリヘル嬢をしている。

 

稔:杉田雷麟

洋一をいじめているグループの一人。血の繋がらない姉を慕っているが、彼女の仕事をたまたま知ってしまう。

 

 

 

見どころ

安定の川瀬さんの演技

冒頭でも書きましたが、本当に川瀬さん演じる中年男性は“弱い”。

ギャンブル好きなのに全然勝てない、そして金に困って職場に嘘を言って給料を前借、そしてまた負けて…。

たまに勝てば盛り場で豪遊と、本当に実生活でもこんな人なのではないかと無礼な錯覚をおこしてしまうほどの演技力です。

この貞夫にシンパシーを感じるか、憤りを感じるかは観る人の状況によると思います。

正に観るものの心を照らす黙示録のような演技に注目して下さい。

 

彼らの行動をどう捉えるか?

ず~んと重いテーマで、薄っぺらい言葉で本作を総括すると

「考えさせられる作品ですね!」

の一言で終わってしまうのですが、本当に考えるべき箇所はキチンと用意されています。

何故、彼らはその行動をとったのかという理由が明確に表現されていない点がいくつかあるのが本作のにくい演出。

そう、少し観る者の解釈に委ねる、例えるならばケン・ローチ監督作品っぽいシークエンスも詰まっているのです。

代表的な箇所を挙げると…、

・優樹菜が最後にとった行動

・稔が石を投げつけたシーン

・貞夫の最後のシーン

ネタバレしそうなので上記のように解りづらい書き方で恐縮ですが、是非鑑賞前にこれらの点に注目して頂きたいです。

どう解釈するかで本作が我々に訴える真意が変わってくると思いますのでね。

 

 

まとめと総評

本作の企画は前川喜平氏という元文部科学省事務次官の方が担当されていて、描写されている闇の部分は限りなくリアルに描かれています。

しかし、みどり的には不満な点もありまして、まずは優樹菜のデリヘル事情なのですが、きょうびあのような小さな街でしかも地元で風俗の仕事に就く女性はいないかと…。

だって生活圏内ですよ。SNSが発達した現代ではどこで顔バレするか分からないので、少なくとも県くらいをまたぐのが一般的ではないでしょうか。

 

それと暴対法でがんじがらめの現在、スナックごときで揉め事がおこって裏から怖いお兄さんが来るって何年前の話なのかと。

どうもこういう細かい設定がガバガバだったのが引っかかってしまい、映画そのものとしての本作の評価は、、、

 

☆☆

 

となりました。

ただこれから教師を目指している方、子供を救うようなNPO法人で仕事を希望されている方は是非ともお勧めしたい作品でしたよ!

 

 

川瀬陽太さんの好演が光る別の作品。

一応区分は成人映画となっております ↓

 
 
隅田監督が手掛けた、ゲッツ板谷著作の名作「ワルボロ」
松田翔太さんの演技が良かったですな!  ↓ 
 
本作の企画に携われた寺脇研氏と前川喜平氏の著書 ↓
 
 
鎌滝えりさんが登場されている「龍が如く7」
うわぁ!早くやりたい~   ↓

 

 

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