テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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猛毒を以って猛毒を制す!『悪人伝』感想と見どころ

悪人伝

英題:THE GANGSTER, THE COP, THE DEVIL

2019年 韓国

監督:イ・ウォンテ

上映時間:110分

鑑賞日:2019/7/18

劇場:109シネマズ湘南

 

 

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 こんにちは!支配人のみどりです!

以前ご紹介いたしました韓国映画『エクストリーム・ジョブ』(みどりの感想はコチラ)。

解体寸前の麻薬特捜班が偽装工作の為に、ターゲットの向かいのチキン屋を購入。

あくまで偽装の為に店を開店したが、思いのほか店が繁盛してしまう…。

もうね、コレ設定の勝利だと思うんです。

なんかキャスティングや台本なんてソコソコいい加減でも(『エクストリーム・ジョブ』は全てに於いていい加減さは皆無です!)良作に仕上がってしまうような、設定のマジックが働いているような気がするんですよね。

今回ご紹介する『悪人伝』もその部類。

世間を賑わせている連続殺人鬼。彼が標的にしたのは武闘派のヤクザの組長だった。

この一文で既に期待のギアが何段階か上がってしまったみどりは、封切り日を一日千秋の思いで待ち、初日に鑑賞してきましたよ。

 

 

あらすじ

ある夜、武闘派暴力団のドンス組長(マ・ドンソク)は雨が降りしきる中、車を走らせていた。

信号待ちの最中、携帯で話をしている組長のベンツに突然一般車が追突。

ドンスは降りて車を確認するも、大した事ないと追突した運転手に気を付けるように注意してその場を収めようとする。

その刹那、その男(キム・ソンギュ)はドンスを包丁でメッタ刺しにした…。

病床で目覚めた組長の元へ、テソク(キム・ムヨル)という刑事が面会に来た。

「犯人の目星はついている。敵対する組織のモノだ」とドンス。

しかしテソクから意外な言葉が出る。

「いや、ソイツは俺が追っている連続殺人鬼の仕業だ」

 

 

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本作のパンフ。シンプルなデザインが渋い!

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ドンソク兄貴のインタビュー記事が良かったです。

 

主要キャスト

チャン・ドンス:マ・ドンソク

武闘派暴力団の組長。子分からの人望も厚く、不義理にはキッチリけじめを付ける典型的なヤクザ。しかしカタギ衆には優しく、雨で傘が無い学生に自分がさしていた傘を差しだすような一面も持っている。

 

チョン・テソク:キム・ムヨル

街で起こっている連続殺人鬼を追いかけている刑事。しかし捜査手法は荒っぽく、法を破る事もしばしば。ドンスから賄賂を貰っている上司から煙たがられている。

 

殺人鬼:キム・ソンギュ

虐待のトラウマを引きずって罪のない人々を殺害している異常者。ドンスを標的にしたのが運の尽きだった。

 

 

見どころ

あり得ない関係のバディ感

ヤクザと刑事。この油と水のような関係が次第に唯一無二のパートナーとなっていくのが本作のウリです。

利害が一致したからには警察もヤクザも無い。しかし根底にあるのは両者共通で、それは“面子”が全てだという事。

ドンスは素人に刺されたという事で、他の組から舐められ、テソクが所属する警察も犯人逮捕に手こずっている様をメディアから「税金泥棒!」と罵られます。

この共通項が、物語が進むにつれ段々と絆に変化する様が面白い!

 

マブリーの魅力満載

『新感染 ファイナルエクスプレス』で日本でもすっかりおなじみとなったマ・ドンソク。

ハリウッドではラブリーの単語にかけて“マブリー”の愛称で呼ばれていますね。

この人の魅力ってあまりにも単純な表現ですが、何はともあれ強そうって一言に尽きると思うんですよね。『新感染』でもゾンビと戦う時の対策は、腕にガムテープを巻いただけ(笑)

まあドンソク兄貴ならこれで十分ではないかと誰もが納得してしまうあの説得力。

 

みどりが『悪人伝』で大好きなシーンを一つ。劇中ドンス組長がある失敗をしてしまい、それに激昂したテソク刑事が組長に部屋になだれ込んできます。その時携帯で通話中の組長に、

「てめえ何やってんだぁぁぁ!」

思いきりグーパンチをさく裂させるテソク。

しかし、ドンスは何事も無かったように、

「すまん、後でかけなおす。   まあ落ち着け!」

と荒ぶるテソクをなだめるというシーン。

このやりとりがドンスのそこはかとない強さが浮き彫りになる秀逸な場面でした!

そして衝撃のラストのあの表情。

あまり喜怒哀楽を出さないポーカーフェイスの彼ですが、あの場面の表情は劇中あそこだけに見せる表情なんですよね!

是非本編でご確認下さい!

 

 

まとめと総評

本来なら絶対に手を組む事が無い二人が、共闘して悪を追い詰めていく本作。

面子を修復するのが目的のはずなのですが、途中「本当にそれだけ?」とも勘ぐってしまう場面もキチンと用意されています。

それと、確かに犯人を追い詰めるのが共通目的なのですが、

ドンスは見せしめに殺したい

テソクは生け捕りにして法廷に引きずり出したいと、終盤に向けて二人のゴールが全く違う事になるのも面白かったです。

そこまで派手にお金をかけている風でもなく、何故この極上のエンターテインメントが日本で撮れないのか悔しさすら覚えてしまう最高の作品でした。

既にハリウッドリメイクも決定しているそうで、あのスタローンが制作するとの事。

マ・ドンソクはスタローンに憧れて映画の世界に入ったとの事で、夢が叶ったのではないでしょうか。

そんな訳で評価は、

 

☆☆☆☆☆

 

問答無用の満点評価。

巷では、犯人描写が雑などのマイナス点も挙げられてますが、みどりはそんな事気にならないくらい楽しませてもらいましたよ!

 

 

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