リチャード・ジュエル:原題(RICHARD JEWELL)
2019年 アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
近年、実話を題材にした作品を多く世に投入し、我々にその当時の出来事をとても解りやすく、かつ心を揺さぶられる映画を撮る巨匠クリント・イーストウッド監督。
支配人みどりは、監督は俳優をメインにされている当時も良かったですが、制作サイドのお仕事でのクリント・イーストウッドの方が好き。
因みに俳優での推し作品は「ダーティ・ハリー」シリーズよりかは「ガントレット」派。
ソンドラ・ロックとの共演時代が大好きです。
そんなハリウッドの池上彰とみどりが勝手に崇めているイーストウッド監督も今年で
御年90歳!
あれ?前作「運び屋」って去年じゃなかったっけ?
ていうかその前の「15時17分、パリ行き」っていつだ?
もう感服するくらい精力的にお仕事をされていますなぁ。
なんか監督の制作ペースを見ていると、映画の制作期間っていつの間にかスピードアップしているのだと勝手に推測してしまいます。
さて、今回の「リチャード・ジュエル」は1996年アトランタ五輪で起こった爆破テロが題材になっております。
あらすじからどうぞ。
あらすじ
彼の名前はリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)。素朴で正義感に強い、それでいて不器用な性格の33歳の青年。市民を守る仕事にずっと憧れていた彼は、アトランタ五輪イベントの警備の仕事に就いていた。
コンサート会場の警備中、一つの不審なバックパックを発見する。マニュアル通り警察に通報し、専門の職員に処理を要請。その中身は悪い予感通り3本のパイプ爆弾であった。直ちに観客を非難させるリチャードと他の警備関係者。その数分前、911に犯人から犯行予告が出されていた。観客の誘導中に爆弾は爆発してしまう。しかし、リチャードの迅速な行動により、犠牲者は出たものの被害は最小限に食い止められた。
一夜にして英雄となったリチャード。ニューヨークからは本の出版依頼まで来るほどの反響ぶりに動揺は隠せない。メディアは彼を英雄視した。
時を同じくしてFBIは犯人のプロファイリングを開始。そこに容疑者として浮上したのは、英雄であるはずのリチャードであった…。
キャスト
リチャード・ジュエル:ポール・ウォルター・ハウザー
33歳、母親と二人暮らし。ずっと法務関係の仕事に憧れていて、企業の備品係→大学の警備員→オリンピックイベントの警備員という経歴を持つ。正義感強すぎの不器用な青年。
武器マニアでもある。
ワトソン・ブライアント:サム・ロックウェル
リチャードの担当弁護士。中小企業のコンプライアンス部門に勤務していた時代に、リチャードと知り合う。よく細かいところまで気づく彼を“レーダー”とあだ名を付けて呼んでいた。相手が誰であろうと容赦なく噛みつくバンカラ弁護士。
ボビ・ジュエル:キャシー・ベイツ
リチャードの母親。息子を愛し、料理が趣味のどこにでもいる優しい女性。リチャード同様メディアの“暴力”に晒されてしまう。
キャシー・スクラッグス:オリビア・ワイルド
有力紙アトランタ・ジャーナルの記者。特ダネの為ならなんでもやる野心家。
ショウを丸め込みリチャードに嫌疑がかかっている事を記事にしてしまう。
トム・ショウ:ジョン・ハム
FBI捜査官。人のいいリチャードにつけ込み、違法捜査スレスレの事をやってのける。
見どころ
サム、キャシーのスキの無い演技が光る!
この二人の演技は改めて見ても凄いですよねぇ。サム・ロックウェルは前回「ジョジョ・ラビット」で観たばかりで、演技をいいタイミング比較する事が出来ました。
キャシー・ベイツの作品はどうしても「ミザリー」が印象深いですが、みどりはFOXドラマの「アメリカンホラーストーリー」を思い出してしまいます。本当になんでもできる女優さん。
この二人がガッチリ脇を固めているので、作品がより映えているのです。
あえてシーンを挙げるなら、オーラスのワトソンがリチャードに接見する時に見せる笑顔。
シーンの詳細はネタバレになるので割愛しますが、この一瞬の表情がとてもイイ!
本作のベストシーンです!
当時の模様を忠実に再現
事件があったコンサート会場のセット等、地理的な様子はもちろん、渦中にいた人物の服装や、ボビが息子リチャードを呼ぶ時の愛称まで忠実に再現。
ワトソンは破天荒な弁護士で、いつも格好はポロシャツにバミューダパンツ。そんな弁護士いるかとツッコミを入れそうですが、これ本当に当時の彼のワーキングユニフォームだったそうです。
イーストウッド作品といえば曲は…
監督の作品といえば、ギターの単音で構成された抒情的な曲が絶妙なタイミングで差し込まれますが、本作にも健在。あのしっとり感は病みつきになりますよね。
まとめと総評
ノンフィクション物ってどうしてもエンターテイメント性に欠けるので、昔はとても苦手だったんですよ。
でもクリント・イーストウッド作品にはそんな心配はご無用。どれも過剰な演出は無いにしろ、各俳優陣のスペックを限界まで引き出して撮影されているので、それは極上のドラマに仕上がっていると感じます。
事件勃発、つまり爆弾がさく裂するシーンでも、別の監督ならもう少し火薬の量を派手に、負傷した人々の流れる血をもっと鮮明にしたりと余計な画をつけて虚飾するかもしれません。
そういったぜい肉をそぎ落とした作風が、物語をよりリアルに仕上げているのだと感じました。
失礼ながら今回の作品は実はあまり期待していなかったので、
☆☆☆☆
思いのほか高得点となりました。
作中のリチャード本人は既に他界されているそうですが、みどりも含め、本作を鑑賞した世界中の人々は彼がどういう人物で、当時何を想って何を感じていたのかよく解った事でしょう。
この映画が公開された事で天国で喜んでいただけているのでしょうか。
監督、お体に無理の無いようこれからも我々が知らない“真実”を教えて下さい!