テアトルみどり座

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鮮やかに蘇った古典『透明人間』感想と見どころ

透明人間

英題:THE INVISIBLE MAN

2020年 アメリカ・オーストラリア

監督:リー・ワネル

上映時間:126分

鑑賞日:2020/7/22

劇場:109シネマズ湘南

 

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 なぜ今『透明人間』なのか!?

公開前に劇場でチラシを手に取った時、みどりは思ったのですよ。

何せこの透明人間はユニバーサルのクラシック・ホラーの一つで太古の昔から浸透してきたキャラクター。ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインと正に『怪物くん』一座の仲間。

みどりも小学生時代、出版社は忘れましたがこのシリーズにハマり図書館で貪るように読みまくり、『ジキル博士とハイド氏』の次に好きなのが『透明人間』でした。

 

調べてみるとこの『透明人間』1897年にハーバート・ジョージ・ウェルズが書き上げて、映画化されたのは意外にも本作でたったの3本らしいです。

因みに前作はポール・バーホーベン監督の「インビジブル」。

ケビン・ベーコンが良かったですよね!

 

そして本作は1933年ジェイムズ・ホエール監督の映画化第一作目のリブート作品となります。

ではあらすじから、

 

 

あらすじ

光学研究の第一人者である恋人エイドリアンに囚われ支配されていたセシリアは深夜、彼が眠っているすきに厳重な警備システムが施された豪邸から脱出する。追ってきたエイドリアンを振り切り、妹エミリーの車で逃走する。

親友で警官のジェームズとその娘が暮らす家に匿ってもらい、それから2週間後、エイドリアンの自殺が報じられる。

彼の兄トムによると、条件付きでセシリアに多額の財産が遺されたという。

にわかにエイドリアンの自殺を信じられないセシリアだが、遺産をジェームズ親子のために役立てようとした。

しかし、その日を境に彼女の身辺に奇妙なことが頻発するようになった…。

 

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本作のパンフ。久しぶりにポスターと全く同じデザインですな。

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全く本編に言及していなかった三村美衣さんのコラムが良かったです。

 

主要キャスト
 

セシリア・カシュ:エリザベス・モス

エイドリアンのDVとモラハラに悩まされていたが、彼の元から脱出。親友のジェームズの家に匿ってもらっている。

 

エイドリアン・グリフィン:オリヴァー・ジャクソン=コーエン

光学研究の第一人者。巨万の富を得て海沿いの豪邸にセシリアと住んでいたが、彼女を失い自殺する。

 

エミリー・カシュ:ハリエット・ダイアー

セシリアの妹。彼女のエイドリアン宅からの脱出の手助けをする。姉妹の関係はいいとはいえない。

 

 

 

見どころ

鮮やかに現代に蘇った古典

みどりが小学生に読んだ『透明人間』は薬を飲んで透明になったのはいいけど、戻し方がわからないといった内容(だったと思います。多分…)。

いかにも昔ながらのファンタジー要素満点でしたが、本作はその世界感を現代にアップデート。

ネタバレになるので詳細は割愛しますが、その透明になる手段に驚きを覚えるでしょう。専門家によると、なんでもこれは理論上可能だというではありませんか。

 

そしてこれまでの『透明人間』はあくまで透明になってしまったジャック・グリフィン博士(←ラストネームがエイドリアンとしっかり一緒)の視点から物語が進行していくのに対して、本作は透明人間のターゲットであるセシリアの視点で進行していきます。

DVに苦しんでいる女性の視点という事で、SFではあるのですがそれを忘れてしまうくらいの、ある意味“親近感”を覚えてしまうのです。

 

 

派手な演出はないけれど

既に亡くなった俳優をCGでスクリーンに蘇らせるほどの技術をもった現代。

SF映画も既に“不可能”という言葉は無くなった感が否めません。

人間を消したり、その消した人間が悪さをしたりと本作でも技術を駆使した演出がてんこ盛りと思われるでしょうが、そういったけれん味は実に控えめでした。

それでも観客を不安のどん底に叩き落とすのは、セシリア役のエリザベス・モスの演技の賜物ではないかと。とにかく彼女の“一人芝居”が見事なんですよ!

正にこれってパントマイムの領域だと思ってしまうのですが、本当に彼女にしか見えない「殺意」が画面越しに鮮明に見えてしまうのです。

 

 

まとめと総評

前回の「インビジブル」では中途半端に透明になった、あの臓器むき出しになった姿が頭から離れず、視覚的なグロさも前面に出ていた作品でしたが、こちらの『透明人間』は内面からゾクっとさせられるお洒落なサスペンスに仕上がっています。

 

そして現代に沿ったシチュエーションで寓話的要素を極限まで削りとった、いわばリブートのお手本のような1本です。

 

ただちょっとみどり的には乗れなかったです…あのカーティス・ハンソン監督の『ゆりかごを揺らす手』を思い出してしまったのですよ。

なんかサスペンスの王道過ぎるというか、非常にうまくまとまっているとは思うのですが、これなら『火曜サスペンス劇場』で充分なのではないかとね。「ドラマ」の域から出ていないみたいな…。

 

それでもオチは意外性もあって、サスペンスが好きな方にはお勧めですよ。

あと特に女性に観てもらいたいですね!

 

という訳で評価は、、、

☆☆☆

かなり☆×2と悩みましたが、あの透明になる手段に度肝を抜かれたという事で×3にしました!

 

 

ポール・ヴァーホーベン監督の快作 ↓

ストレートな恐怖はコチラの方が上です!

 
 
H.Gウェルズの原作 ↓
江戸川乱歩シリーズのように、みどりが小学生時代に読んだモノとは別物なんだろうなぁ…
 
 
パンフレット内で三村美衣さんが勧めていたHGウェルズの入門書 ↓
非常に興味が湧きました。
 

 

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