ジャスト6.5 闘いの証
英題:Just 6.5
2019年 イラン
監督:サイード・ルスタイ
上映時間:131分
鑑賞日:2021/2/20
劇場:横浜シネマリン
こんにちは!中東の国々に対し、まだ古臭いステレオタイプなイメージを抱いている時代遅れのみどりです。
かつてみどりが勤めていた会社の副社長は中東の方でした。
この方、みどり達にとっては雲の上の存在だったのですが、現場の方との交流を大切にされている素敵な重役。よくみどり達のような下々のスタッフをランチに誘っておられたのです。
本社の赤坂からわざわざ支店まで赴いてはランチに招待、食事処の決定は土地勘のあるみどり達支店のスタッフの仕事だったんですね。彼は大の和食党なのでその点は全く問題なかったのですが、唯一気を付けなければならなかったのが厳格なイスラム教徒なので豚カツはご法度。
これは地区統括部長経由で徹底された教育がなされていたほどでしたよ。
初めて彼とランチに行った場所は確かお蕎麦屋さんでしたかね。話題はどうしようとか、お店の方角(勿論宗教上の)は間違ってないかとか、お祈りの時間(そんな事していないと後に判明)をまたがないか等正に余計な心配ばかりしていて前日は眠れなかった思い出があります。
当日、話してみれば確かに厳格なオーラが漂いつつも、いたって普通の話題で時間が過ぎていった記憶があります。
このイスラム教の方へのイメージって、正に諸外国の方が日本は未だに男はちょんまげ、女は全員芸者のような感じかと自己反省。実際モロッコとか旅行に行ってこのイメージを払拭したい気もあるのですがこのご時世ですもんねぇ。
という訳で今回ご紹介するのはイランで空前のヒットを飛ばした『ジャスト6.5 闘いの証』という作品。
予告を観るとクライムサスペンスの雰囲気ですが、何せイラン産という事に興味が湧きました。
これが日本やアメリカといったお馴染みの国の作品ならスルー確定でした(笑)
あらすじ
薬物撲滅警察特別チームの一員であるサマド(ペイマン・モアディ)は、大物麻薬王のナセル(ナヴィット・モハマザデー)を追っていた。
懸命な捜査が功を奏し、遂にナセルを刑務所に収監する。しかし、これはほんの始まりに過ぎなかった・・。
主要キャスト
サマド・マジディ:ペイマン・モアディ
薬物撲滅警察特別チームの部長。地道な捜査の果てに、遂にナセルを捕まえる。
ナセル・ハクザド:ナヴィット・モハマザデー
大物麻薬王。彼のペントハウスで自殺しようとしているところにサマド達に踏み込まれる。
家族を大切にしている。
見どころ
特別なイメージは抜きにして
これから観る人へはこの一言、
肩の力抜いてサラっと観てみて
なんか配給会社の戦略かなんかは知らないですが、どうもイランという国を全面に出し過ぎていて、変なイメージが先行しがちなんですよね。
なので冒頭に書いたエピソードのような感覚になってしまうと。本当に普通の(褒め言葉として)クライムサスペンスに仕上がっています。
またこのルスタイ監督はまだ30代前半で、オリジナリティ溢れる作家性も感じましたよ。
冒頭の緊迫感、そしてクライマックスの癒し感。この緩急が見事でしたよ。
まとめと総評
この作品の特徴は前半は追う立場のサマドの視点で描かれていて、後半からは追われたナセルの視点に変化するところなんです。
そして悪であるナセルの視点は実に家族愛に溢れていて、一瞬どっちが善悪か解らなくなることも。そして最大の残虐性を孕んだエンディングに向かっていく構成は見事でしたね。
そしてエンドロールに入る直前にこの意味深なタイトルを理解していくというね。
お国柄を超越して普通に(くどいが褒め言葉で)楽しめました!
という訳で評価は、、
☆☆☆
同時に公開されていた『ウォ-デン 消えた死刑囚』は結局観れませんでした。
配信で公開されたら観てみるとしましょう。