テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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やまない雨も無ければ、明けない夜もない…『朝が来る』感想と見どころ

朝が来る

2020年 日本

監督:河瀬直美

上映時間:139分

鑑賞日:2020/10/25

劇場:109シネマズ湘南

 

 

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 こんにちは!30代後半になってやっと父性に目覚めたみどりです。

以前勤めていた会社で、大規模なプロジェクトの立ち上げに参加する機会に恵まれ、南米6か国に約2か月間滞在する経験をしました。

そこでパラグアイでしたかね、そこでランチをしたお店でとても可愛い女の子(多分お店のご家庭の娘さんで5~6歳くらい)を見かけたんです。今ではその時自分がなんでそんな事を口にしたのかよく覚えていなのですがふと、

「可愛い女の子だなぁ。連れて帰っちゃおうかな(笑)」

と呟いていました。

決してアブナイ感覚ではなく、自分にもこんな子供がいればいいなという健全な憧れみたいな気分だった事だけは確かだったと思います。

それを聞いた、その道中にスペイン語の通訳だった方に、

「みどりさん。その気持ちが本心であれば…」

と深刻な表情で、養子縁組の話を持ち掛けてきたのです。

南米には親がいない子供も多く、そんな子が闇の組織に利用され不幸な人生を送ってしまうケースが少なくないとか。

彼が話す事もまんざらではないと感じ、その時から養子縁組というのも子供をもうける一つの手段として理解する事ができたのでした。

 

そして今回紹介する作品は辻村深月さん原作の『朝が来る』という作品。

養子縁組がテーマになっているハートフルミステリーです。

この作品当初は6月に公開される予定でしたが、コロナ禍で延期になってしまった作品。

初めてトレーラーを観て、またチラシのデザインのインパクトが強くてずっと楽しみにしていたんですよね!

「子供を返してほしい。でなければ金よこせ…」

とのたまった女は茶髪でスカジャンを纏った見るからにやばそうな女。

訝し気な表情で「あなたは誰ですか?」と問いかける永作博美。

一体ここで何が起こっているのか、みどりの鑑賞意欲が爆発してしまったのであらすじを紹介します。

 

 

あらすじ

望まぬ妊娠をしてしまった片倉ひかり(蒔田彩珠)と、夫の無精子症が判明して失意の底にいる子供が欲しくてたまらない栗原佐都子(永作博美)の二人の母の物語。

聡子は続けてきた不妊治療を夫の清和(井浦新)断念する事にした。

そこで民間の養子縁組をあっせんするNPO法人「ベビーバトン」のセミナーを受ける。

養子縁組を結ぶ条件をクリアしていた栗原夫妻はすぐに男の子の朝斗を迎える事になった。

ベビーバトンの代表から朝斗の実の母との面会を促され、朝斗の幸せをひかりに誓う栗原夫妻であった。

それから数年後、佐都子は1本の電話を受ける。

「子供を返してください。それがだめならお金をください」

聞き覚えの無い口調に狼狽するしかなかった…。

 

 

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本作のパンフレット。武部由美子プロデューサーのプロダクションノートが面白かった!

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こちらのパンフ表から開くと佐都子のストーリーで、裏から開くとひかりのストーリーという凝った構成になっています。

 

主要キャスト

栗原佐都子:永作博美

夫である清和との間に子供ができず長年不妊治療を受けてきた専業主婦。

 

栗原清和:井浦新

佐都子との間に子供が出来ないのは自分の無精子症が原因だと知り落胆する。

 

片倉ひかり:蒔田彩珠

中学生で彼氏の巧との間に子供が出来てしまうが、体裁を重んじる両親はその事を許さなかった。

 

浅見静恵:浅田美代子

NPO法人ベビーバトンの代表。ひかりの子供を栗原夫妻に引き合わせた。

 

 

見どころ

河瀬監督の手腕

河瀬監督といえばドキュメンタリー。今回の東京オリンピックの記録映画監督に任命されている事でもお馴染みですよね。

河瀬組の特徴のひとつで『役積み』という言葉があります。これは撮影前2~3週間前から私生活も含めて各々の役になりきってもらうという期間が設けられているんですね。

 

ひかり役の蒔田さんには実際に中学に通ってもらって卓球部にまで入部して、栗原夫妻には独身時代のデートまでしてもらう徹底さ!

それはドキュメンタリーさながらのリアルを追求した河瀬監督の作品に対する情熱が本編にも滲み出ているんですよね。

勿論、俳優陣のベースになっている演技力も功を奏しているのですが、これは監督の手腕が大いに影響していると感じました。

 

 

まとめと総評

養子縁組においては後進国の日本。本作を通じてこの制度を広く知られてほしいというのがスタッフの願いとの事です。

鑑賞後は間違いなくハートフルな気持ちになるのですが、スカジャンの女の登場で一気にミステリアスに転調するのが強烈なエッセンスになっています。

あの女は一体誰で何の目的なのか。是非本編で確かめてください!

今回の評価は、、、

 

☆☆☆☆

 

今の邦画界には河瀬監督のような独自の作家性を持った監督がもっと台頭してくる事をみどりは願っています。

でもエンドロールの演出はやりすぎかなぁとも思ったり…(苦笑)

 

 

こちらが原作本です ↓

 
 
河瀬監督といえばコチラ ↓
希林さんが亡くなってもう3年ですか…

 

 

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