拷問男:原題(Daddy’s Little Girl)
2012年 オーストラリア
監督:クリス・サン
支配人みどりは若かりし頃、オーストラリアにワーキングホリデーに1年間行っていました。
その甲斐あってか英語がそこそこ喋れまして、日常業務の7割を英語でこなす外資系の企業に一時期勤めていた経験もあります。
でもマスターした場所がオーストラリアという事もあり、この有名な豪州訛りを治すのに苦労したものです。
オーストラリア英語を話す人と対峙すれば、事前知識が無くとも「出身はオーストラリアですか?」と尋ねることもでき、これは財産ともいえる能力と自負しております。
こちらなんとも言えない物騒な邦題が付けられた本作の登場人物も皆、こってこてのオーストラリアンイングリッシュを話し、半ば懐かしさすら覚えましたよ。
とりあえずあらすじを
あらすじ
デレクは愛妻との間に娘を授かる。しかし数年後二人は離婚。娘ジョージア(ビル・ベイカー)の6歳の誕生パーティーを盛大に行ったデレク(マイケル・トムソン)と弟のトミー(クリスチャン・ラドフォード)。宴の終焉後、デレクは元妻の元にジョージアを送り届ける。普段娘が生活している元妻の家の窓は壊れて鍵がしまらない。デレクは窓を早く直せと、二人は喧嘩。関係は絶対に元には戻らない様子だ。
ある日元妻から娘がいなくなったとデレクに電話が入る。警察の必死の捜索も虚しく、娘は殺害されてしまっていた…。ショックで仕事も休み、引きこもるデレク。トミーは兄を心配し、自宅で開催されるパーディーに誘う。そんな気分ではないデレクだったが、心配してくれている弟の願いもあって渋々足を運ぶ。酔い覚ましに、寝室で休んでいたら一冊のノートを見つける。そこにはトミーが行った恐るべき内容が書かれていた。
キャスト
デレク:マイケル・トムソン
共同経営者のコリンとサーフボードショップを営んでいる。ジョージアの父だが妻とは離婚。怠慢ショップ店員だった弟トミーを、経営難から解雇する。
トミー:クリスチャン・ラドフォード
デレクの弟。性格はゴリゴリのパリピ。サーフィンとパーティー三昧で仕事もいい加減。
自分を解雇した兄への恨みでジョージアを殺害する。
コリン:ショーン・ギャノン
シェイパー職人のデレクとサーフショップを経営する。デレクの良き理解者。
ジョージア:ビル・ベイカー
デレクの愛娘。トミーに殺害される。
見どころ
堕ちていくデレクの心情
妻とは別れてしまったが、娘への愛情は人一倍。そんな愛娘を奪われた怒りは観るもの全てに痛感させます。ときおり目の前に現れるジョージアの幻が、怒りの裏側に佇む寂しさを強調しています。
執行人の選択
復習の鬼と化したデレクの制裁は、血を分け合った弟に容赦なく牙を剥きます。「ソウ」「マーターズ」「ムカデ人間」といった苦痛系のゴア表現てんこ盛りの作品を鑑賞した方には、いささか物足りなさを感じるかもしれませんが、耐性の無い方には鑑賞自体が拷問かも。
次々と繰り広げられる痛みのフルコースの中、デレクが選んだメインディッシュが一番堪えたのかもしれませんね。
クライマックスのメッセージ性
一連のプロットを追ってみると、本作がただのスプラッターホラーの映画ではないことが解ってきます。確かに法に委ねなかったデレクは社会的には許されない者なのですが、自分に置き換えてみると、また現在の法整備を考えてみると、不思議と彼を直球で非難できなくなってくるのです。
まとめと総評
字幕では表記されていませんでしたが、本作の舞台はサンシャインコースト(聞き間違いだったら悪しからず)というクイーンズランド州の美しいビーチ。
みどりは滞豪時代、住んでいたところはゴールドコーストという観光地で、サンシャインコーストは車で行ける場所にあり何回か行きました。
いやあ懐かしかったですね。
一年中サーフィンが楽しめる素敵な場所。その裏で恐ろしい出来事が行われているといった、表裏一体感を本作で楽しんで下さい。
そんな本作の評価は、、、
☆☆
トミーにもっと汗だくになってほしかった!!