佐々木、イン、マイマイン
2020年 日本
監督:内山拓也
上映時間:119分
鑑賞日:2020/12/7
劇場:kino cinema横浜みなとみらい


こんにちは!支配人のみどりです。
今回ご紹介する作品『佐々木、イン、マイマイン』を観終わった後、一番最初に思ったのが、
「自分は今まで、どれだけの人の人生を変えてきたのだろう・・」
一見かなり御大層で僭越に聞こえましょうが、これって少なからずこの社会生活を送っていらっしゃる方なら全員当てはまるのではないでしょうか。
家族、友人、恋人はたまた職場の同僚までね。それは時にいい形でも悪い形でも千差万別。
勿論いい影響のみを与えていきたいと願うのが人情というもの。
青春映画を観てこんな哲学的な気持ちになるのは初めての経験なので、少しだけ驚きましたよ。
この話は主演の細川岳さんの学生時代にいた友人がモチーフとなっています。
つまり、細川岳さんは当時は悠二の側にいた人間となりますね。
ここを理解しながら観るとまた趣が違ってきますよ。
あらすじ
石井悠二(藤原季節)は俳優になるために上京したものの、結果は鳴かず飛ばず。
別れた彼女のユキ(萩原みのり)との同棲生活もずるずると続いていた。
ある日、悠二が生計を立てるためにアルバイトとして働く工場に、高校の同級生だった多田(遊屋慎太郎)が営業にやってきた。多田との久しぶりの再会に仕事終わりに飲みに行く二人。その席で、かつて高校時代の圧倒的存在だった佐々木(細川岳)との日々を思い起こすのであった。
主要キャスト
石井悠二:藤原季節
俳優を目指して上京するもあまり売れていない。別れた同棲相手との部屋も出ていく踏ん切りもつけられず、うだつの上がらない日々を送っている。
佐々木:細川岳
明るくお調子者。「佐々木コール」が起これば時と場所を選ばず全裸になる。父親と二人暮らしだが、その父はあまり帰ってこない。
ユキ:萩原みのり
悠二の元彼女。同棲生活は続いているがお互い距離を保っている。一応次の季節の変わり目に出て行こうとしている。
多田:遊屋慎太郎
悠二の高校時代の友達
木村:森優作
悠二の高校時代の友達
見どころ
佐々木の心の中
明るくふるまっている裏側、そこには彼にしか解らない深い悲しみと闇が確かに存在します。そして時折仲間たちとの他愛もない会話の最中に見え隠れする瞬間に心を掴まれます。
例えば、、
「俺からカップラーメンをねだるかねぇ。俺の生命線なんだけど。・・・でもいいよ」
佐々木以外の三人のように、常に温かい食事を用意してくれる人間はおらず、家庭の温もりというものが佐々木には無い事を想起させてくれています。
でもそういうのって、その場では中々理解できないんですよね~。当然物語は何事も無いようにあえて進行していくのですが、こういうシーンが随所に用意されているのです。
そして佐々木の心情を考える事は、悠二の佐々木に対する気持ちも同時に考えられるというね。
拘りぬいたアイテムとロケハン
佐々木の乱雑に散らかった部屋。それも一番目を引くのがサッカーのボードゲーム。懐かしいですね!しかも箱が傍らにあるというね。これって細川さんの自前らしいですよ。
そして佐々木が通っていたパチンコ屋。大手のチェーン店でない所がいいじゃないですか。地方の個人店、それも屋号が特殊なパチンコ屋ってなんか哀愁があるんですよね~。
そして忘れてはいけないのがあのペルシャ館というカラオケ店ですよね。よくこんな雰囲気のカラオケ店を見つけてきたものです!
まとめと総評
俳優、制作陣ともに若い世代で作られた映画ですので、これまでの青春映画とは一線を画す出来だったと思います。
定石通りの青春モノを期待すると肩透かしを喰らうかも。
鑑賞後、必ず皆さんは古い友人の顔を思い起こすはず。
「アイツ元気にしているかなぁ」
そう思ったら迷わず連絡を取ってみる事をお勧めしますよ!
自分が元気である限り、相手も元気だという保証はどこにもありません。
その時を逃したら永久にその人に会えなくなるかも…。みどりは既に何回か経験しましたのでね。
という訳で評価は、、
☆☆☆
しかし萩原みのりさんの躍進は止まらないですね!