テアトルみどり座

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この鋭利な言葉の武器が見えるか!?『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』感想と見どころ

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実

2020年 日本

監督:豊島圭介

上映時間:108分

鑑賞日:2020/3/20

劇場:kino cinema横浜みなとみらい

 

 

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 討論って最近してないですねぇ。

常日頃みどりはこの「討論」という行為は人を選ぶと思うんですよ。

そのテーマによってある程度の知識は絶対不可欠だし、適切な意見を言わないと全く論点がズレていきますしね。

会社の会議とかで、話しているうちに、

「それ今言うの…?」

といった場面に遭遇したことありませんか?

現代風の言葉を使うと「コミュ障」と呼ばれてしまう人は土俵にも上がれないというね。

 みどりが高校生だった頃、「朝まで生テレビ」が大好きでして。特にオウム真理教のメンバーが多数出演されていた会は正に神回でした。あ、勿論みどりは反オウムの立場です。

そんな“論客”と呼ばれる討論での強者は必要以上に熱くならず、冷静に相手を言葉で諭していく姿はスマートでカッコいい。

 

予告からも既に熱は伝わってきます!↓

 

三島由紀夫の著作は実は1冊も読んだ事ないです。一応有名どころのタイトルは抑えている程度で、割腹自殺をされた文豪程度の知識なんです。

本作はTBSに保管されていた伝説の討論会、三島由紀夫が1000人の東大全共闘のメンバーを論破しにかかった映像をまとめたドキュメンタリー。

言い換えれば1人の右翼対1000人の左翼となるんでしょうね。

 

 

概要

1969年、5月13日

東大駒場キャンパス900番教室。

1000人を超える学生たちが文豪三島由紀夫を待ち受けていた。

東大全共闘が、思想も立場も正反対の三島を討論会に招いたのだ。

午後2時5分、伝説の幕が開いた…。

 

 

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読み応え抜群のパンフ

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神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんのファンになりました。

 

主要キャスト

ナレーション:東出昌大

証言者:元東大全共闘

    芥正彦、木村修、橋爪大三郎

 

    元盾の会

    篠原裕、宮澤章友、原昭弘

  

    討論の場にいた人々

    清水寛、小川邦雄

  

    三島と親交があった人々

    瀬戸内寂聴、椎根和

 

    三島を論じる文化人

    平野啓一郎、内田樹、小熊英二

 

 

 

 

見どころ

鋭く的確、そして解りやすい

本作は東大900番教室で繰り広げられた伝説の討論会をメインに4章に区切って構成されています。

 

当時の映像からはもの凄い熱気が溢れているのですよ。ペンキでなぐり書かれた文字、素朴な出で立ちの学生達、今では考えられない紫煙一つ一つにあつ~い魂を感じました

 

三島由紀夫の弁は、みどりのような現代の緩みきった風潮に流され切った頭脳でも簡単に理解できてそしてユーモアまで混じっている

そして対する全共闘のメンバーもそれに引けを取らない。中でもメンバー随一の論客と呼ばれた芥正彦氏。この人は良くも悪くも本当にめんどくさい。

 

この方現在「‘67前衛劇団」を主宰されていて数々の舞台を演出、作、主演されていらっしゃる表現者なのです。フィルムに収められていた学生当時の芥さんはそのヴィジュアルも際立っています。イヤミカットの髪型に自分の赤ん坊を連れて答弁。

常ににやけた口元からは、ただならぬオーラを放っている三島を前にしても微塵も引かない。20代そこそこの学生とは思えない風格です。

 

 途中現代に戻って、当時の関係者にインタビューする映像が差し込まれるのですが、当然平野啓一郎氏以外は70歳越えの方々ばかりなんですね。皆さん本当に当時の事を明快な言葉で語られていたことに度肝を抜かれたのですよ。

だってみどりがこのくらいの歳になった時に、ここまで自分の頭の中を的確に相手に伝える事が果たしてできるだろうかと。

友人とよもやま話をしている時に、

「え~と、あれなんだっけ?ほら、あれだよ」

と一つの単語を思い出すのに、そこそこの時間がかかっている今の自分を鑑みると自信がなくなりましてねぇ

 

 

今も彼らは戦い続けている

現在の元東大全共闘の方々への質問で、

「全共闘運動は敗北したわけですが…」

の問いかけに、おのおのの考えを語られるのですが、木村修さんの表情が凄く印象的です。

理知的に説明されている橋爪さん、現在も相変わらずめんどくさい芥さんとは違って、押し黙っている木村さんの表情は本作の強烈なパンチラインとなっているのです。

 

 

まとめと総評

鑑賞後、改めてみどりは凡人なんだなぁと空を仰いだわけなんですがね。

勿論、あの時代に20代を過ごしていたらまた違った考えになるのは言うまでもないのですが、やはり頭のいい人ってもの凄い深いところで生きていると感じたのですよ。

 

映画としての本作はとても興味深くて面白かったです。しかし、あの場所で討論されているテーマは正直言ってどうでもいいと思ってしまうところが凡人たるゆえんかと…。

 

途中、三島氏がエロティシズムとは何かとの答えに、

「縛られて手足の自由が利かない女性」

と答えられたところに少しだけほっこりしてしまいましたけでも。(みどりに緊縛の趣味は無し!)

 

まあ凡人なりに精一杯生きていきますけどもね!

そんな訳で本作の評価は、、、

 

☆☆☆

 

SNS上で今日もどこかで展開されている、匿名での罵詈雑言なんてなんの意味もなさないと感じさせてくれる熱い作品です。

 

 

本編に登場した証言者の方のコラムまで掲載されている本作のパンフ

本当に読み応え抜群ですぞ ↓

 

 

討論会を書籍化したもの ↓

 

いい機会なのでこの辺から読んでみようと思います ↓

 

 

 

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