ジュディ 虹の彼方に:(原題)JUDY
2019年 イギリス
監督:ルパート・グールド
上映時間:118分
鑑賞日:2020/3/21
劇場:109シネマズ湘南
ジュディ・ガーランドの事を本作を観るまでよく知らなかったみどりは、当初本作をスルー作品としていました。
しかし愛聴しているFMヨコハマ「Tresen」内の『映画探偵事務所:工藤旬作』(←漢字違うかもです)のコーナーで紹介されていたのです。
その中でもみどりがひっかかったキーワードは、
「ライザ・ミネリーのお母さん」
「生涯で5回も結婚」
とにかく波瀾万丈な人生を送ったスターの私生活に興味をそそられるピュアな野次馬根性と、あのライザ・ミネリーのお母さんのお話を垣間見たく急遽鑑賞する事に。
そう、流石にみどり世代ではジュディ・ガーランドをリアルタイムに知っていることはかなわず、娘さんのライザの方がお馴染みなんですよ。
フレディ・マーキュリーの追悼コンサートでのステージは本当に素晴らしかったですよね。↓
あと「オズの魔法使い」のドロシー役って事も一応は知っていました。
あらすじ
かつてはミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨していたジュディ・ガーランド(レネー・ゼルヴィガー)も今ではすっかりその光が消えようとしていた。
「オズの魔法使い」の主役でトップ女優に上り詰めてから30年。度重なる遅刻や無断欠勤のせいで映画出演のオファーはすっかり途絶えてしまっていたのだ。
まだ幼い娘ローナ(ベラ・ラムジー)と息子ジョーイ(ルーフィン・ロイド)を連れて巡業ステージで生計を立てていたのだが、借金の為宿泊していたホテルの滞在費も払えず、ついに追い出されてしまう。
そんな時、イギリスのナイトクラブ『トーク・オブ・ザ・タウン』からショーの依頼が舞い込む。子供達と離れるのは不本意ではなかったが、背に腹は代えられぬジュディは元夫のシド(ルーファス・シーウェル)に子供達を託す。
支配人のデルフォント(マイケル・ガンボン)とマネージャーのロザリン(ジェシー・バックリー)はジュディを手厚く迎え、まだ彼女の人気が途絶えていないクラブのステージへ立つのであった。
主要キャスト
ジュディ・ガーランド:レネー・ゼルヴィガー
13歳の時に映画会社MGMのオーディションに合格。その後「オズの魔法使い」のドロシー役で大ブレイク。しかし少女時代から服用していたドラッグとアルコールが災いして、精神が不安定になりスケジュールに穴を開ける事もしばしば。やがて映画のオファーはめっきり来なくなり、今は巡業で食いつないでいる。
ロザリン・ワイルダー:ジェシー・バックリー
ジュディのマネージャー兼身の回りの世話を献身的に敢行する。
見た目の優雅さとは裏腹に仕事は完璧。常に冷静な判断で、わがままなジュディの要求もそつなくこなす。
ミッキー・ディーンズ:フィン・ウィットロック
青年実業家。ジュディの5番目の夫。
因みにミッキーはジュディとは死別となる。
ルイス・B・メイヤー:リチャード・コーデリー
ライオンが吠えるマークでお馴染みのMGMの共同創始者にしてプロデューサー。
ジュディの育ての親であり、プライベートも厳しく管理する。
見どころ
歌だけでなく…
レネー・ゼルヴィガーの歌は言わずもがなで素晴らしいですよ。もう少し歌のシーンが多めなら、あの『ボヘミアンラプソディー』以来の音楽系応援上映が開催できそうなくらい良いです。
ラストにやっとこさ披露される「Over the Rainbow」のシーンなんかは、隣の見ず知らずのおばさまと三度離れたハーモニーで号泣。
そしてずっとジュディが歌うシーンで気になっていたのは、あの独特の佇まい。
こう、猫背なんですが首はお客さんの方へしゃんと向かって、腰は女性らしく反っているユニークな姿ですよね。
帰宅後、すぐにあれやこれやとジュディ・ガーランドの事をネットで調べていたら、なんとあの独特の立ち姿はジュディの特徴の一つで、レネー・ゼルヴィガーはこんなとこもコピーしていたのです。
久々にメガトン級の女優魂をひっしと感じました!!
闇の部分は控えめに
時折子役時代の思い出がフラッシュバックのように差し込まれるんです。
それのメインはルイスというMGMのドンとのやり取り。
彼はジュディの過密スケジュールをこなすのと、体系を維持するのに食欲を減退させるように、まだ10代の彼女にドラッグを飲むように指示したり、また副作用で眠れなくなったら睡眠薬まで飲めと手段を選びません。
そして決定的なシーンは無いにしろ、恐らくそれ以上の行為もされていたのではないかという場面もあってですね…。
要するに古き悪しきハリウッドの闇の部分も随所に描かれているのですよ。しかし、これが実に奥ゆかしく描写されているのです。
恐らくキム・ギドク監督なら目を覆いたくなる演出が発射されていそうですが、本作はこういったあえて控えめな描写が凄く作品に溶け込んでいるのです。
みどり的ベストショットはここだ!
世話役のロザリンとバンドリーダーのバートとお茶をしているシーン。
お茶の横に一切れのケーキに中々手を付けないジュディ。
ロザリンが「食べないの?」と促すと、はにかむような切ない笑顔を見せるのです。
もう、この表情がすっごく良かったです!!
恐らく彼女は少女時代から食べたい物も自由に食べる事が許されずに、甘いお菓子に手をつける事に躊躇するクセが自然と付いてしまっていたのでしょう。
そしてほんの数ミリ口に運ぶと、
「なんて美味しい…。あら、まるで初めて食べたみたいね。」
と、またあの切ない笑顔。
みどりは涙が溢れ過ぎて声が出そうになりました…。
まとめと総評
是非ともじっくり『オズの魔法使い』を観たくなったのですが、くだんの彼女の闇の少女時代を知ってしまったので、どうも穿った観方をしてしまいそうでなんか躊躇してしまいますよねぇ。
動画サイトで、ドロシーのジュディが「Over the Rainbow」を歌う白黒動画もしっかりあるのですが、コメント欄にはしっかり「この時、クスリでキマッてたんでしょ」との書き込みが日本語でありました。
この作品で描かれたジュディの時間は、彼女の最晩期の時代と言われていまして、この翌年にこの世を去ってしまいます。
ただこのイギリス公演の時は本当に優しい人達、お客さんに愛されていたのだと実感しました。
47歳とまだ若かったのですが、彼女の人生は本当に素晴らしかったと思いますよ。
そして評価なのですが、、、
☆☆☆
もう少し勉強して観ればよかったと後悔もしています。
ジュディ・ガーランド通も納得のサウンドトラック ↓