テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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前略、ゴールデングローブより、『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』感想と見どころ

屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ:(原題)Der Goldene Handschuh

2019年 ドイツ

監督:ファティ・アキン

上映時間:110分

鑑賞日:2020/3/15

劇場:シネマジャック&ベティ

 

 

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 「気をつけないとホンカに捕まるぞ~!」

とドイツ、ハンブルグではこんな囃子があるほど有名な殺人鬼がテーマになっている本作。

 

みどり行きつけのBarの常連でZ君というユニークな男がいまして。まあこいつの酒癖がしこたま悪いんですわ。

酔うとどうなるのかというと、とにかく女性が好きで、そして思った事を何でも口にしてしまうというね。

「君おっぱいでかいね!触ってもいい?」

等はまだマシなほうで、

「君ブスだなぁ」とか「幸薄そうな顔してるね~」

との極めて失礼な言もスムーズに発射

こんなんだからソコでのZ君は女性から全く相手にされなかったのです。

 

ある日たまたまZ君行きつけの別のお店に行った時、そこのマスターから聞いたZ君の武勇伝が驚愕でした。

それはおばあちゃんをお持ち帰りしたとの話。

 

かねてからZ君の女性の好みは謎のベールに包まれていたのですが、まさか自分の母親よりも年上までストライクゾーンが広かったとは本当に驚きましてねぇ。

その後、婚活は真面目にやっていた彼は、結婚相談所でそこそこのお金を使ってやっと出来た彼女は彼と同年代である30代。

みんなからは、

「30代なんてZ君にしてはロリコンになるが大丈夫か?」

といじられたのは言うまでもありません。

 

そんなZ君のエピソードを真っ先に思い出してしまった本作のあらすじをどうぞ…

あ、最初にことわっておきますが、今回の作品紹介は、みどり個人の意見がいつも以上に織り込まれております。

特に熟女マニアの男性諸氏、強度なフェミニストの方は不快に思われるかもしれません。コチラでブラウザを閉じて頂ければ幸いです。

 

 

あらすじ

1970年、ドイツのハンブルグ

男が女性の死体を袋に入れて持ち出そうとしている。

袋に無造作に入れられ、アパートの階段を“ゴン、ゴン”と鈍い音を響かせながら降りていく。途中で重すぎて運べないと判断したか部屋へ持ち帰りのこぎりで切断し始める。

 

1974年

バー「ゴールデン・グローブ」ここは365日24時間営業の店。敗戦で負った心の傷を酒で忘れようとする者の癒しの空間。ここのカウンターの隅にいつもフリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)は座っていた。彼は事故の後遺症で背中は曲がり、顔も鼻は崩れてその目は斜視になっている。

目当ての女性が見つかると酒をふるまおうとするが、その容姿になびく者は誰もいなかった。

ある日カフェでタバコを咥えた若く美しいペトラ(ソフィー・シュミット)を見たホンカは、すぐさま火を差し出す。

軽く礼を言って立ち去るペドラの後ろ姿を、ホンカはじっと見つめるのであった…。

 

 

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チラシと同デザインのパンフは久しぶりです。

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監督のインタビューは良かったですが、もう少しキャストの紹介が欲しかった。

主要キャスト

フリッツ・ホンカ:ヨナス・ダスラー

10人兄弟の3人目。共産党員の父はアルコール依存でホンカに暴力を振るい、清掃員の母は育児放棄をして施設で育つ。ホンカ自身も重度のアル中。初老の娼婦からも相手にされない醜男。

 

ペトラ:ソフィー・シュミット

少し背伸びをしたい年頃。学校の友達の男子に「ゴールデン・グローブ」に誘われる。

 

ゲルダ・フォス:マルガレーテ・ティーゼル

元従軍慰安婦の初老の女性。ホンカに「ゴールデン・グローブ」で酒を奢られ、彼の部屋までついて行く。

 

 

 

見どころ

凝縮されたいや~な空気

 えぇと、誰でもそうだと思うのですが、性的対象になるお相手ってある程度限られていますよね。

例えば冒頭のZ君のエピソードも、本作のホンカのターゲットになる女性達も普通にお酒飲んで話をするのであればアリだと思うのですが、まさかお持ち帰りして行為に及ぶのはナシなんですよ。

 

見たくないですが、たまにネットで見かけてしまう初老系のAVとかも一体どれだけ需要があるのかと…。

性癖は人それぞれなので全否定するつもりはないですが、それがみどりには凄く鬱に感じてしまうのです。

 

過去の作品を例に挙げると『フロム・ダスク・ティル・ドーン』でタランティーノが演じたリッチー。

彼が中年で豊満な女性を惨殺するシーンがあったじゃないですか。殺害シーンそのものは無かったにしろ、この熟女好きでリビドーが加速して殺してしまうといった「構図」が凄まじいインパクトだったんですね。

このシーンは「フロム~」ではリッチーという男の狂気性を知らしめる為の一つとしてしか描かれなかったのですが、本作ではこんな地獄の行為のオンパレード。

 

またホンカの殺しは美しくないのですよ。だってターゲットは黒木瞳や美保純といった美熟女(すみません、個人的な好みが入っています)とは到底かけ離れているし、衝動でグーパンチされて入れ歯が壊れたと騒ぎ立てる女性の描写もリアル。

そして『羊たちの沈黙』のレクター博士のようなスマートさは微塵も感じられないガサツな行為。

本能のまま相手を凌辱する様は常に醜悪の香りが漂っています。

これが“香る”4DXで公開されたら確実にトイレに駆け込む観客がいたことでしょうねぇ。

 

見事に再現されたメイクとセット

今回フリッツ・ホンカを演じたヨナス・ダスラーはまだ24歳でその素顔は超絶イケメン。

20歳以上年上のホンカを演じるにあたっての特殊メイクは毎回3時間もかかったそうです。そしてホンカが住んでいた部屋には壁一面にポルノグラフィティが貼られていて、何故か子供用の人形がたくさん飾ってあり、その容姿とセットで確実にやべぇ奴と解るのです。

エンドロール時に当時の実際の部屋が写されるのですが、これが本当にリアルでここにも恐怖を感じました。

 

 

まとめと総評

こんなモンスターを作り上げたのは時代なのか幼少期の辛い体験なのか。いずれにしてもフリッツ・ホンカという実在の殺人鬼を知るには、絶好の教科書になりうる本作は非常に面白かったです。

ふと鑑賞後に思い起こすと、目を覆うようなゴアシーン自体は少なめなんですよ。

しかし、ターゲットになる到底性的対象にならない女性を力でねじ伏せ、殺害してしまうホンカの狂気。そして非モテ男の倒錯した感性が作品全体を形成していてトータルに目を覆ってしまうというね。

 

みどりは現実世界では非力な人に危害を加えるのは絶対反対派。特に幼児虐待とか高齢者に暴力なんてもってのほかで、レイプなんて裁判なんか開かずに無条件で全員死刑になればいいとさえ思っています。

映画は非日常を体感できる最高の芸術と思いますが、本作は全くその言葉通り、いやそれ以上の“超非日常”を体感できるでしょう。

 

という訳で評価は、、、

 

☆☆☆☆☆

 

いわゆる「胸糞映画」ですが、そんな単純な言葉では言い表せない凄みがこの作品には潜んでいます。

 

 

ロバート・ロドリゲスの傑作。

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