テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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華麗に堕ちていく…「クライマックス CLIMAX」感想と見どころ

クライマックス CLIMAX:原題(CLIMAX)

2018年 フランス ベルギー

監督:ギャスパー・ノエ

 

 

尖り過ぎている作品を世に放ち、新作が公開される度に世界から賛否の声を挙げさせているギャスパー・ノエ監督。

その前衛的なスタイルにみどりはいつも魅了されています。

映画の固定概念を暴力的にぶち壊してくれる様は、「アレックス」を観た時にどっぷりはまってしまいました。

 

あれ?なんでスタッフロールから始まるの??

自分寝てた???

 

完全なる遡行スタイルで物語が進む「アレックス」。

2000年にクリストファー・ノーラン監督の「メメント」がこのスタイルで有名ですが、「アレックス」はそれ以上。

冒頭の激しい暴力シーンからスタートして、『なぜこんな事になったのか』という視点で物語が進んでいくのです。

そんなこんなで待っていました監督の最新作「CLIMAX」。本作では我々の常識をどのように覆してくれるのでしょうか!

 

 

あらすじ

血まみれの女性が雪原でのたうち回っている。

1996年に起こった事件の物語。

廃墟に集まった22人のダンサー達は、舞踏団のリハーサルを終え打ち上げパーティーを開いていた。DJが流すトラックに各人得意のパフォーマンスを繰り広げている。

ヴォーギングにクランプ、そしてブレイキングボーン。フロアの片隅で女性ダンサーを物色している男性達の、下世話な会話もパーティーには付き物。密かに想いを寄せている相手を誘惑している者もその振る舞いは十人十色。

そして皆のグラスには手作りのサングリア。

パーティーも佳境に差し掛かってきた。いきなり泣き出す者、怒り出す者、放尿する女性…。

酒だけのテンションでないと皆が気付き始めた時に誰かが叫んだ!

「サングリアに何かが入っている!!」

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パンフレットの「赤」は本作イメージにハマり過ぎ!


 

 

キャスト

セルヴァ:ソフィア・ブテラ

ダンサーの一人。重度の幻覚に陥っていわゆる「バッドトリップ」の被害者。

物語の中心人物。

 

DJダディ:キディ・スマイル

パーティーのDJ。メンバーから信頼を得ていて、良き相談相手。

 

 

 

見どころ

圧巻のダンスシーン実は…

冒頭13分のダンスシーン。どう見てもワンカットに見えるのですが、実はこちら編集されたものだそうです。監督が塚本晋也氏と「映画秘宝」の誌面トークで語っていました。

たとえ編集されたものとはいえ、このシーンが痺れるんですよね。

皆さんはヴォーギングといえば誰を連想しますか?R40世代はマドンナで、もっと若い方はアヤバンビですかね。

もうみどりはこのヴォーギングが世界で一番かっこいいダンスと思っていますので、ここだけのDVDが欲しいくらい。

 

出演者にプロは二人だけ

俳優を肩書にしているのは、上のキャストの項目で書いた二人だけ。あとはアマチュアダンサー達の即興で台本も無く撮影されています。それにしては皆さん本当に演技が上手い!

 

監督の仕掛けが楽しい

もうこの監督の作風って本当にぶっ飛んでるんですよ。スタッフロールのタイミング、タイトルの差し込み方。その他にも、

「ん!?」

となる箇所がもうてんこ盛り。プロットだけを追うスタイルではないのが、我々をワクワクさせますよね。

 

 

まとめと総評

気持ちいい…。そして疲れた…。

これが本作を観終わった後の率直な心境。

ダンサー達の激しい動きに呼応するように、オーディエンスも同じくらい体力を使わされるので、鑑賞の際は万全の体調で挑んで下さい。

ドラッグが巻き起こす悲劇、それは1人1人に何を見せたのか、人間の業を浮き彫りにさせる様が鮮烈な映像で語られています。

評価は、、、

☆☆☆☆

 

いやあこの心地よい疲労感がまたいいのですよ。

本編97分がまるごとクライマックス!

ラストもキッチリまとめられています!

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