テアトルみどり座

映画の感想、見どころを気ままに紹介しています。

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ある事件で負った心のキズ『ルーム』感想と見どころ

ルーム:(原題)Room

2015年 カナダ・アイルランド・イギリス・アメリカ

監督:レニー・エイブラハムソン

 

北九州一家監禁殺人事件をご存知ですか?

みどりは名作「闇金ウシジマくん」のエピソード『洗脳くん』を読んで衝撃を受け、この話のモデルになった事件をもっと知りたくなりました。そこで豊田正義著作の「消された一家」というルポを読んだのですが、まあさらに衝撃の上乗せをしてしまったのです。

様々な監禁事件、一般の方の中には「なぜ逃げなかったの?」という疑問がわくと思います。

逃げられないんですよ。

監禁とはその年月が経てば経つほど、犯人に心を支配されていく忌まわしい犯罪という事を痛感したのでした。

さて、そんな監禁事件がテーマになった本作「ルーム」

まずはあらすじを、

 

 

あらすじ

 

ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は5歳の誕生日の朝を迎えていた。

母親ジョイ(ブリー・ラーソン)はそんなジャックに手作りのケーキを与える。

しかしそのケーキにはロウソクが立っていない。「こんなのバースデーケーキじゃない!」と癇癪を起すジャック。二人がいるのは天窓が一つだけある納屋。狭いが一応トイレ・バスタブ・台所と映りが悪いテレビがある。ジョイはある男に17歳の頃にここへ閉じ込められた。ジャックはこの納屋で生まれ、一度も外へ出たことがないまま5歳の誕生日を迎えたのであった。ジョイは遂に息子ジャックとこの納屋を脱出する事を決意する。二人で何度も練習するこの脱出計画にもう迷いは無かった。

 

 

キャスト

 

ジャック:ジェイコブ・トレインブレイ

 

監禁部屋である納屋を「ルーム」と呼んでいる。

生まれてからこの部屋を一度も出た事がない5歳の男の子。毎週日曜日に消耗品と食料の支給が犯人からされ、その日だけはクローゼットの中で寝るようにしつけられている。

動物が大好き。

 

ジョイ・ニューサム:ブリー・ラーソン

 

ジャックの母親。17歳の時に「ルーム」に監禁され、7年の歳月が過ぎる。監禁中、ジャックに勉強を教え、運動も一緒にしている。

 

オールド・ニック:ショーン・ブリジャース

 

ジョイとジャックを監禁している犯人。納屋を鉄の扉で、暗証番号のロックが施されている。

毎週日曜に、ある程度ジョイのリクエストした品物を支給している。現在失業中。

 

 

 

見どころ

 

ジャックが生まれて初めて見る青空

 

本作も子役の演技が光っています。

監禁されていた5年間、というか一度も下界に出た事のない子の情報源はテレビと母親の話だけだったのです。

脱出して初めて見る大きな青空のシーンはグッときますよ。あの表情は、人間誰しも生まれてから一度はすると思うんですよね。

初めて見た素敵なモノに対してね。それは人それぞれ違いますがね。これを演技でやってのけるのは驚愕でした。

 

解放後の生活

 

7年の苦痛から解放されたジョイは、その後の生活も大変でした。

連日マスコミに追われ、自分が知らない間に両親は離婚。ジャックは子供ならではの好奇心でどんどん本来の生活を取り戻していくのに対して、彼女の心の病が悪化していくのには胸が痛くなります。

 

優れたバイプレイヤーはこの人

 

解放後、ジョイとジャックをとても温かく迎えたジョイの母親とその夫。

病院の先生等、周りの人たちは皆救世主に見えるのですが、みどり的に一番輝いていたと思うのはパーカー巡査という婦人警官。ジャックを保護した女性警官です。

母親以外の人と初めて喋ったジャックは、当然他人に対して恐怖を感じ、上手く供述を取れません。それでも根気よくかつ優しく接したパーカー巡査が一番天使に見えましたよ。

 

 

まとめと総評

 

監禁中はジョイがジャックを守り、解放後はジャックがジョイの心の支えになる。

忌まわしい事件がテーマになっているのですが、この親子と周りの優しい大人達との心のふれあいを全面に描かれていて、すごく心を揺さぶられる作品です。

鑑賞後、不思議と事件の憤りを全く感じさせないのが本作の鍵となっています。

というわけで評価は、、、

 

☆☆☆☆

 

ジョイとジャックに幸あれ!

 

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